2015年1月2日金曜日

東大阪市議会・不適切政活費

<読売新聞より> 

 ◇市議会 意識改革なるか

 今年、各地の議会で政務活動費(政活費)の不適切支出に注目が集まった。東大阪市議会(定数40、欠員2)でも不明朗な使途が相次いで発覚。返還額は3000万円近くにのぼり、正副議長が2代続けて辞任するなど、大きな混乱に陥った。(田中健太郎)

 ■不信の連鎖

 「政活費の一連の問題の責任を取り、辞職願を提出しました」

 11月10日、当時議長だった平田正造市議(64)は、苦渋の表情で報道陣にそう話し、頭を下げた。わずか1か月前、政活費問題で辞任した前任の議長が謝罪した光景が、再び繰り返された。

 同市では9月以降、次々と不適切支出が発覚した。本来認められない持ち家に設けた事務所の賃料や、ホテルでの飲食費、親族への人件費に政活費を充てていた市議もいた。各会派が調査した結果、正副議長を含む31人が約2953万円を返還する異常事態になった。

 政活費を返還したある市議は「独自ルールが広がって、いつの間にかルーズになっていた」と振り返る。

 ■働かないチェック

 同市の政活費の支給額は月額20万円(11月以降は15万円)。近畿の主な中核市の支給額(7万~10万円)と比べても高額だ。一方、チェックする議会事務局の職員は1人と、態勢に不備があったと指摘されている。

 同じ中核市の枚方市議会(定数34)の月額は7万円。前年度分の申請書類の提出を受け、担当職員5人が領収書の添付漏れや適用外の支出がないか確認する。最終的には事務局職員19人全員がチェックに加わる。

 全国市民オンブズマン連絡会議の内田隆さん(39)は「職員がしっかりと確認するのは当たり前。インターネットで使い道を公開して透明性を高めるなどし、見られていると意識を変える必要がある。そもそもチェックされないと正しく使えないこと自体、低次元な話なのだが」と指摘する。

 ■見直し進むも…

 東大阪市議会も改革に乗り出そうとしている。各会派の代表者ら11人で構成する「政務活動費検討会議」(座長・菱田英継副議長)は11月以降、運用マニュアルの見直しを進めており、今後発足する第三者委員会に提出する予定だ。

 マニュアルの改正案では、飲食への支出を禁止。また、事務所費の運用ルールにあった「条件付きで認める」などの、あいまいだった補足も撤廃する。菱田副議長は「信頼回復のためにも、議会が自らできる改革を進めたい」と話す。ただ、前払い制については、一部会派が財政上の負担を理由に慎重になっており、後払い制と併記するという。

 一方の市側は11月以降、弁護士に依頼し、各議員の収支報告書の調査を開始。悪質なものは告訴を検討する。さらに市監査委員に監査を要求し、2011~13年度の全議員の申請内容を調査中だ。野田義和市長は「不適切な支出があれば、毅然とした対応を取る」と厳しい姿勢を示す。

 ウミを出し切り、市民に信頼される議会に生まれ変わることができるのか。来年は、より厳しい視線が議会、そしてチェックする市に注がれることになる。


 

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