2017年10月11日水曜日

大津市議会意思決定条例の意義

<月刊ガバナンス10月号より>

月刊ガバナンス10月号【連載:議会局 軍師論のススメ(清水克士・大津市議会局次長の寄稿】より抜粋記事をお届けします。

◆大津市議会意思決定条例の議事機関としての実務的意義
(1)地方自治法制定時には想定されていなかった「通年議会」を採用したことによって、法定外活動を議会の公務として位置付ける「議員派遣」手続きのためだけでも、本会議を開く必要に迫られる不合理に対処。
(2)専門的知見の活用については「逐条地方自治法」において、具体的内容の議決を必要とする見解が示されているが、大学連携事業の詳細を常に定例会開催に合わせて決めようとすることは、実務上困難を伴う。大津市議会では制度運用の機動性を確保しつつ、公費支出の合法性を担保するため、議長決定とすることとした。立法者意思と現場ニーズのギャップを埋めたのだ。
(3)公聴会開催、参考人招致の意思決定手続きについては、議決でも議運決定でもよいとされている。法が議会に判断を委ねるというのであれば、大津市議会として執る手続きは予め決めておき、市民に明示しておくことが必要と考えた。

◆大津市議会意思決定条例の立法機関としての本質的意義
追加改正によって制度化された「通年議会」や「専門的知見の導入」によって生じる実務的課題は、本来は国で対処されるべきものである。地方議会が自ら持ちうる権限によって、立法者意思と現場ニーズとの乖離に対処したことこそが、大津市議会が「議会意思決定条例」を制定した本質的意義である。

◆常識こそ疑うべきもの
首長が事務決裁規定を定めているのと同様、議会も意思決定方法を条例制定時に議決し、予め市民に明示しておけば、議決以外の意思決定も可能。議会の意思決定は議決しかあり得ないというのが、議会の常識とされている。常識とされるものこそ疑ってかからねば、現場における進歩はない。市民感覚からズレた議会の常識を変えていくことこそが、議会局のシゴトの要諦ではないか。





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