2018年3月21日水曜日

政務活動費領収書 ネット公開及び腰

<大阪日日新聞より>

住民にとって最も身近なはずの地方議会が、遠い存在になりつつある。「政治とカネ」の問題が後を絶たず、選挙の投票率も下落傾向に歯止めがかからない。そもそも市民にとっては普段の議会活動が見えにくい。どのように住民に公開されているのか。大阪府と府内全33市の現状を点検し、地方政治の在り方を考える。
インターネットで中継されている大阪府議会の本会議=大阪府庁

■政治的責任

 賛成か、反対か-。議会に提出された議案について、どの議員がどのような態度を示したかは有権者も気になるところ。 議員の考えを知る材料にもなる。
 賛否の公開状況を調べてみると、議員ごとに公開しているのは府内33市議会のうち25市議会だった。
 市民の要望を受け、2017年度から公開を始めた阪南市議会の事務局は「議員の政治的責任をより明確にする効果がある」と説明する。
 府議会と4市議会は会派単位の公開にとどまる。議員数86人の大阪市議会では、起立表決の際に全議員の態度を目視で正確に把握するのが困難という。同市や府の議会事務局は「同一会派で賛否が分かれることはない」とも指摘している。
 公開していない議会は「市民から聞かれたら答える」「重要なのは議論の過程」などを理由に挙げた。

■7割未配信

 議員が市政課題に関する質問を首長にぶつけ、議会の意思を決定する最も重要な場が本会議だ。本会議から付託を受けた委員会は議案をより専門的に審議する。
 議場に足を運べない市民も傍聴できるようにしようと、府議会と19市議会は本会議をインターネット上で生中継している。
 半面、13市議会は本会議、委員会ともにネット生中継を実施しておらず、委員会は約7割の議会が未配信だ。録画映像を公開する議会もあるが、編集した上で1週間以上たってから配信するケースが多い。
 なぜ未配信か。「環境を整える問題がある」(高石市議会事務局)などと費用負担を懸念する声が目立つ。

■信頼揺らぐ

 「政務活動費に関する不祥事が各地で相次いでおり、地方議会の信頼が揺らいでいる。まずは自ら律することから始めた」。府議会の大橋一功議長はそう説明する。
 府議会は15年、ネット公開を導入するための条例改正案を議員提案し、全会一致で可決。領収書や会計帳簿など全ての書類を公開している。全国市民オンブズマン連絡会議が17年に発表した「政務活動費情報公開度ランキング」で、47都道府県の中で兵庫に次いで2位となった。
 大橋議長は「政治や議会に興味を持ってもらう環境づくりが重要だ」と力を込める。
 だが、府内の多くの自治体は公開に及び腰だ。政務活動費の領収書は支出の裏付けとなるが、ネットで公開しているのは府議会と13市議会にとどまる。
 門真、守口両市議会は市役所の情報公開コーナーで領収書を閲覧できるが、多くの自治体は閲覧したい場合でも情報公開請求の手続きが必要となり、住民に開かれているとは言い難い状況だ。
あらゆる活動公開を
 全国市民オンブズマン連絡会議代表幹事の豊永泰雄弁護士(大阪弁護士会)の話 公開度は高まっているが、まだ不十分。政務活動費の原資は税金であり、説明責任が問われる。住民がいつでもどこでも容易にチェックできる仕組みが必要だ。議会は行政となれ合いの関係であってもいけない。行政を監視する本来の職責を果たすには、政務活動費に限らずあらゆる活動を電子データとして積極的に公開すべきだ。
 

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