2018年3月31日土曜日

地方議員、なり手確保へ 総務省研究会が報告書 重要議論に住民が参加 兼業・兼職の制限緩和

<産経新聞より>

3月27日(火)7時23分 産経新聞
 急激な過疎化や高齢化に直面する小規模自治体の議員のなり手不足を解消する制度を検討してきた総務省の研究会(座長・小田切徳美明治大教授)は26日、現行に加え新たな2つの議会制度も選択可能にする報告書をまとめ、野田聖子総務相に提出した。
 新たな仕組みは、少数の専業議員と裁判員のように無作為で選ばれた住民で構成する「集中専門型議会」と、兼業・兼職議員中心の「多数参画型議会」の2種類。現行制度を維持するか、新制度のいずれを選ぶかは自治体の判断に委ね、条例で定めるようにする。
 集中専門型議会は、議員定数を減らす代わりに専業でも生活が可能な水準に議員報酬を引き上げる。議員が減ることで多様な民意をどう反映させるかが課題となるため、有権者の中からくじなどの無作為な方法で選んだ議決権のない「議会参画員」が議員と一緒になって予算や条例など重要な議論に参加する制度を組み合わせる。
 多数参画型議会は、現在の兼業・兼職制限を緩和し、定数を増やす代わりに議員報酬を低く抑える。議員が参加しやすいように議会は平日の夜間や休日を中心に開く。また、自治体と取引関係にある企業の役員や、県職員、近隣市町村の職員が小規模市町村の議員になれるようにする。企業役員らの兼業を認めることに伴い、契約の締結や財産の処分の一部を議決案件から除き、情報公開を徹底する。
 政府は報告書を受け、地方制度調査会(首相の諮問機関)で対象となる自治体の規模などを詰め、来年の通常国会にも地方自治法改正案などを提出したい考えだ。ただ、全国町村議会議長会は「地域の実情にあった議会のあり方を議会改革で模索してきた地方議会の取り組みに水をさす」などと反発している。
 地方議会をめぐっては高知県大川村が議会に代わって住民が直接審議する町村総会の設置を一時検討した。研究会はこの動きを受けて始まったが、報告書は「住民が一堂に会する町村総会は実効的な開催は困難と考えられる」とした。

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