2014年11月24日月曜日

行動、意識に厳しい目・・・<平成大合併から10年 変わる地域>

<秋田魁新報より>

 「市議はもっと減らせるんじゃないか。議員が地域の将来を真剣に考えているのかが見えてこない」。大仙市内で今年6月に開かれた市議と地域住民との市政懇談会。参加者の男性(72)が居並ぶ市議を前に不満をぶつけた。 

大仙市議会が開いた市政懇談会。参加住民からは議員への注文が相次いだ=今年6月、同市角間川町

 男性が住む地域では過疎化に伴って空き家が増え、自力で雪下ろしのできない高齢者世帯も目立つ。「不安を抱える住民の切実な声を議員が掘り起こし、政策に反映させてほしい」。男性はこう話す。

 大仙市は旧大曲市など8市町村が合併して2005年に誕生。市議会は旧市町村の議員(定数合計146)が、そのままとどまる在任特例を適用した。特例に反対する議員の辞職もあって、合併時は136人でスタート。当時の東京都議会(127人)を上回る日本一のマンモス議会になった。

 市民からは「すぐに選挙をして、法定定数の30人でスタートすべきだ」との批判が飛び交った。議員数は合併半年後に選挙を経て30人となり、昨年からは条例制定により28人に減った。それでもなお削減を求める声が上がるのは、議会の存在感が薄いとみる市民が少なくないからだ。

 市議会も改革を進めている。議員の活動指針を定めた議会基本条例を11年に制定。市政懇談会の開催のほか、議員の政策立案・提言の強化といった改革案を盛り込んだ。ただ、政策面では今年6月に「乾杯条例」を制定した以外、ほとんど実績はないのが現状だ。橋村誠議長は「議会改革はまだ道半ば。市民の厳しい声には行動で応えていきたい」と話す。

 県内の合併自治体は、議員数が合併前より大幅に減少した一方で、行政エリアは拡大。その分、議員個々の役割は増している。旧市町村の「地域代表」にとどまらず、全域への配慮がこれまで以上に求められている。

 湯沢市は05年の合併時に76人だった議員が、この10年で22人となった。地域別の内訳は旧湯沢市11人、旧稲川町5人、旧雄勝町5人、旧皆瀬村1人。旧湯沢市だけにあった会派制を取り入れ、現在は四つの会派がある。

 最大会派・政和会に所属する由利昌司議長は「合併後の議員に求められるのは、地元と市全体の両方の立場で物事を考える視点。旧市町村の垣根を越える必要があった」と会派制導入の理由を説明。「地元それぞれの要望はあるだろうが、有権者も含めて全体の視点をさらに持つ必要がある」と続ける。

 ただ、市議会の一般質問では旧市町村単位の地域要望が依然目立つ。「職員間の意識の溝はだいぶ薄れたが、議員は地域エゴから抜け切れていない」との見方もある。

 湯沢市は今、市長交際費や食糧費など公金の不適切な支出をめぐる対応に追われている。市当局への批判とともに、市議会のチェック機能が働いていなかったと指摘する声が市民から出ている。

 旧湯沢市時代を含め市議を6期務め、昨年引退した藤原一男前議長は「議員が多ければ 地域が良くなるわけではないと思う。議員一人一人の意識がこれまで以上に重要になって いる」と語った。

合併自治体の議員定数 

 平成大合併で発足した県内15市町議会の定数は現在、計338。合併前(1083)の3分の1に減少した。最も多いのは秋田市議会で39、最も少ない八峰町議会は12。人口減少を背景に、合併後も定数を減らす議会が目立っている。


 

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