2015年3月7日土曜日

「ヘルメスとしての地方議員~票と利益の交換を超えて」


<川崎市議会を語る会のブログより>

 

地方自治体議員の役割、もう少し厳しく云えば、存在価値は何だろうか。実は簡単な

ようで、そうでもないのだ。現在の地方自治体は、政治体制として二元代表制と云わ

れている。その一方は「首長」であり、もう一方は「議会」である。これは我が国の議員

内閣制よりも米国の大統領と議会との関係と似ている。

 

首長は個人であると共に機関であって、その地方を代表し、行政機構の長である。こ

れに対して議会は?…議員の集合体であるが、憲法の規定からすれば、議事機関であ

る。事を議(はか)る、即ち、議論することだ。議会で議長が良く、「おはかりしま

す」と云う。これは「議る」であって、「謀る」ではないのだ。

 

しかし、議論するだけであって、何もしないのかとの疑問が直ぐに涌く。そこで多く

の地方議会における議会基本条例は、自らを「意思決定機関」とよぶ。確かに首長から

の予算案を受けて、議会は審議し、議決する。形式的には意思決定だ。しかし、本来

の組織的意思決定は予算案段階において首長が行っている。実質的に議会の議決は形

式的なのだが、そうも云えないので、筆者は「承認型意思決定」とよぶ。単に承認する

だけで多数の議員が必要なのか、との疑問は残るが。

 

予算案以外にも条例の制定には議会での議決が必要だ。しかし、これも圧倒的に多く

は「承認型意思決定」なのだ。勿論、議員提案の条例もあり、特に最近は多くなってい

るが、それでも稀少例だ。

 

さて、ここまで来ると、議員とは何だ!との疑問を正面から問いたくなる。そこで、

多くの議員は「行政のチェック役」と云う。流石に議会基本条例には、チェック役とは

記していないだろうが。川崎市では政策立案及び政策提言と規定する。

しかし、ここでも疑問は続く、全国の地方議員を合わせると何人いるだろうか。自治

体の数は1,700程度か。一声、平均20名とすれば、3万4千人になる。それだけい

て、地方にハコモノが数多く建設され、多くの職員を雇い、財政難に陥るのはどうし

てだろうか。

 

これでは堂々巡りに陥る。

そこで、新しい議員像を打ち立てる必要がでてくるのだ。議員は自らを住民の代表と

考えているだろうが、それは単に選挙で選ばれただけのことだ。議員そのものには何

も政治的権限はない。権限があるのは、議会なのだ。

 

そこで、改めて住民から選ばれたことと、権限のある議会の構成員のひとりであるこ

とを考えれば、「議会―議員―住民」と表現できる。一方、首長は、「首長―行政職員

―住民」になるだろう。議員は議会と住民を結びつける存在なのだ。

 

ここで表題にある「ヘルメスとしての議員」を提案したい。

ヘルメスはギリシャ神話に出てくるオリュンポス12神のひとりだ。様々に解釈され

る多様な神として描かれる。ここでは、ゼウスによって神々の使者に任じられ、異な

る世界を動き回ったことに倣って、「使者としての議員」とする。

 

議員は、議会と住民を繋ぐ役割を担う。一方では、代表性を有し、住民の意思を把握

して討論によって議会の意思を動かす。議会の意思は議員によって、住民に知らさ

れ、住民もまた、討論の中から議員へ意思表示を行う。

 

議員の意識としては、議会報告に代表される様に、議会から住民への使者と考えるだ

ろうが、住民と意見交換を行うようになれば、住民から議会への使者となることもあ

る。更に、両者を繰り返し、更に住民を議会へ導き、自らの意見を開示するようにア

レンジも必要になる。どちらの使者なのか、混乱するかも知れない。しかし、その混

乱状態が実は議員の“本来の姿”と考える。

 

これまでの議員と住民との関係は「票と利益」との交換であった。勿論、政治は利益を

巡る争いの側面が大きいことは確かだ。しかし、それだけでは味気ない。「全体像及

び将来像」も必要なのだ。逆にこれだけでは心もとないだろうが。

 

そこで、「票と利益」を超えて「全体像及び将来像」に接近するアプローチが必要にな

る。それは住民もまた、考える必要がある。その試みは長い忍耐の道になるだろう。

しかし、議会を「討論の広場」として議員だけでなく、住民も参加するように、使者が

活動することによってその道が拓かれるのではないか。

 

今度の統一地方選挙が、その皮切りになることを期待する。

 

 

 

2015年3月6日金曜日

市民団体による「川口市議会だより」発刊について(お詫び)

市民団体による「川口市議会だより」発刊について、お詫び申し上げます。

当会では平成25年8月より、年4回のペースで「川口市議会だより」を発刊して参りました。

第7号(平成26年12月議会号)は、諸般の事情により3月議会(現在開催中)との合併号に変更することになりましたので、悪しからずご了承下さるようお願い致します。

2015年3月5日木曜日

男性中心議会に風穴

<宮代町議のブログより>

お花のカレンダーをめくって3月にすると、お陽様の光をいっぱい浴びた水仙とスイートピー。ああ、春だと感じる。昨日は、道端にある野菜直売所の、2か所で「フキノトウ」を見つけました。小さなビニール袋に入って100円。これも、ああ、春だ、と。

女の議会道

東京新聞が2015統一選に関する特集で、「女の議会道」と称する特集を連載している。千葉県浦安市の女性議員が「病児保育」の導入を市に迫った経緯が紹介され、4度目(4年目)にしてようやく市長の前向きの答弁を得、思わず涙がこぼれたことが書かれていた。「病児保育は日本人の働き方の問題。社会を変える一歩になる」と、この女性市議。

続けて記事から引用

「女性が多いと議論がしやすい。おじいさん連中にありがちな<縄張りあらそい>がなく話が速い。」と女性議員が6割を占める神奈川県大磯町議会の3期,Wさん(68)は言う。委員会審議では議員の質問に町側が答えるだけで、「私はこう思うけど、あなたは?」という議員間の会話は成立しなかった。

2年前、常任委員会の委員長に就任したとき、「一つのテーマをもって、みんなで勉強しましょう」と呼びかけ、議員同士の意見交換を取り入れた。闊達なやり取りが生まれ、昨年12月、再生エネルギー推進条例案の全会一致の可決につながったという。

議員が意見を出し合い議論や理解を深める「議員間討議」は、議会改革の手法として注目される。国立市議会の1期、Mさん(53)は「調和を求める女性のやり方が活かされるのでは」と期待する。(しかし、現実には、これができないのが議会だ)

女性議員の割合が8.3%と関東16県で最低の群馬県では、市町村を主に、国、県も含めて「群馬女性議員政策会議」を作り、毎年知事に政策提言をしている。

「女のくせに」と言われて悔しい思いをしている議員は多く、情報交換や勉強会を続けて資質を高めようと15年前に発足した。市町村の実情を反映した提言をし、なによりめげた時に気持ちが違う」と桐生市議のOさん。

ー引用ここまでー

多勢に無勢。感覚も違えば、発信の仕方も違う。しかし、生活に根付いた提言、ヒントを活かしたいと思う女性議員は多いと思います。それを頭ごなしにオレ様流に合ってない、男性の言い分で門前払いできるのは、数が多いからだ。

自分流しか許してくれない男性社会だけが世に認められるなんて、おかしい。違った目線、違った質問の仕方、違った感覚があってこそ議会の多様性が生まれるのではないでしょうか。自分の流儀に合わないから「問答無用」にさえぎってしまう議会が生まれ変わるのに、もう少し時間がかかるようです。


 

2015年3月4日水曜日

「討論の広場」のミニチュア版を~議会報告・意見交換会を超えて

<住民自治の探検へ~川崎市議会を語る会のブログより>

地方自治体における議会改革も進み、多くの議会で「議会報告会(意見交換会)」が開催されるようになった。そこで、一月後に統一地方選挙を迎える。これを契機に議会改革を進める提案が立候補者側から出されるのか、そこが第一の見極めとなる。

「議会報告会」は、議会基本条例を日本で初めて制定した北海道栗山町議会は全国に広めた企画である。しかし、それが広まるにつれて、「報告会」では、決まったことを一方的に聴くだけで物足りない、との声が出始めた。

一般的に「報告会」と云えば、質疑応答を含む。従って、報告されたテーマについては、時間の制約を除けば、理解を促進し、場合によっては意見も言えるはずだ。問題は報告内容の乏しさ、判り難さにあるはずだ。

栗山町では、切迫した財政状況、次世代総合計画などが報告されていたので、緊迫感があったに違いない。また、意見交換会なども別途に開かれていたので、「報告会」が特に異論も無く実施されていたのだと思われる。

しかし、その企画が、内容では無く、形式だけが真似されると、些末な条例改定、あるいは背景等も含めて内容が判りにくい条例の説明に成り、形式的な報告会に流れていくようになる。

更に、各会派に分かれる議員は、議会の議員である前に会派の議員であって、所謂、会派拘束という問題がある。会派の中で議論し、調整された意見を外して自らの意見を云うことに慎重にならざるを得ない。

一方、「意見交換会」として住民からの意見・要望を聴く場合、その内容は身近な問題で、端的に要求が多く、論議にもならないし、他の住民にとって、関心がない問題が多くなる。

まとめると、問題は以下である。

1)議会側の議会報告は中味が判り難い

2)市民側からの意見・要望はローカル

従って、参加した市民の多くは、退屈して関心を持続できない。

こんな状況になることが多いようだ。

そこで、筆者が考えているのは、議会主催にする前に、会派拘束が無い無所属の方が、できれば3名以上集まり、課題を設定して「討論」し、その後、市民が意見を述べる、できれば、議員と市民がやりとりをする、そんな企画だ。

これを「討論の広場」として、憲法93条で規定する議会=議事機関としての原型にできないか、ミニチュア版をやれないか、ということだ。住民としても学習が必要だと思っている。

無所属議員は自由に自らの所信を表明できる。そのため、複数名の議員がいれば、討論の広場が構成可能だ。そこに会派拘束の無い無所属の特質を生かした議会活動が展開可能なのだ。

頭に浮かんだことが、越谷市の白川議員による前回選挙での複数議員による統一マニフェスト活動である。今回選挙では更に別の事を考えている様だが。

政令市としての川崎市は7区のそれぞれで選挙区が構成される。従って、「議会報告会」を企画する無所属の議員の方は共同で試みたらどうだろうか。複数人が集まり、先ず、選挙の際に公約として掲げることから始まり、会期終了後の報告会を各人の選挙区において実行するのだ。

これは一例であり、色々考えて、無所属の特色を生かした、会派に無い独自の連携プレーも採るようにすれば、多くの一般市民の関心を呼び覚ますことができるかと考える。全国の無所属議員が、参考にして頂ければありがたい。

2015年3月3日火曜日

ネットで公開「緊張感」 政活費使途、透明化の動きも

<朝日新聞より>

 政務活動費の不適正使用などで、あらためて注目された「議会とカネ」。長年の制度を変えない議会も多いが、朝日新聞の全国自治体議会アンケートからは、透明化への動きが少しずつ広がっていることもわかった。▼1面参照

 「コピー代 140円」「切手28枚代金 2240円」――

 神奈川県箱根町議会のホームページには14議員の政務活動費の収支報告書と領収書が並ぶ。町議会が1月からネット公開を始めた。きっかけは昨年10月に開いた住民との意見交換会だ。

 「何に使っているのか」「領収書はどうやって見られるのか」。議員1人月額1万円の政務活動費への質問が相次ぎ、議会改革担当の折橋尚道町議(56)は「『号泣会見』があり、住民の関心の高さを実感した」。議会は約1カ月後、住民らが情報公開請求の手間をかけなくても済むようネット公開を決めた。

 さきがけは北海道函館市議会だ。領収書などは請求があれば公開していたが、政務活動費をめぐる住民からの訴訟も続出。透明性をさらに高めようと2012年にネット公開を始めた。最近は、議員1人月額4万5千円の政務活動費の消化率は5割前後だ。道南市民オンブズマンの大河内憲司代表(79)は「全国から監視されている緊張感を生む」と指摘する。高知県議会は7月からネットで公開予定。大阪府議会も2月議会で同様の条例改正案が可決される見通しだ。

 使途の公開だけでなく、第三者がチェックする仕組みを設ける動きも広がる。

 「号泣県議」で話題になった兵庫県議会。昨年11月、政務活動費の使途を調査する「第三者機関」を設けた。大学教授、弁護士、公認会計士3人による協議会が、疑義のある支出を調査し、それをもとに議長が是正命令を出す。第三者チェックの仕組みがあるのは、北海道、東京都、さいたま市、大阪市、福岡県、熊本市など21議会ある。

 中でもユニークなのが北海道鹿追町だ。公募に応じた住民5人が書面審査だけでなく、町議に直接質問することができる。「視察を町政にどう役立てるかはっきりしない」と注文も飛ぶ。埴渕賢治議長(73)は「町民の目にたえられる議会をめざしたい」と話す。

 「一度手にした政務活動費を返したくなかった」。元兵庫県議が警察の調べにこう供述して批判が集中した「前払い」制度の見直しも始まった。秋田県湯沢市議会は4月から、会派の担当議員らが議員の領収書などを審査し、適正な支出分だけを支払う「後払い」に切り替える。由利昌司議長(66)は「使い切りの意識も変わるし、無駄遣いはなくせる」と言い切る。

 ■定額制の交通費、実費化で1割に

 本会議や委員会に出席する際の交通費などの「費用弁償」も見直し対象だ。この4年で80議会が廃止し、費用弁償が「ない」と答えたのは920議会。「ある」の868議会を上回った。1日一律5千円を支給していた京都市議会は「厳しい社会経済状況」などを理由に11年に費用弁償を廃止。1日一律5千円の和歌山市議会も4月に廃止する。

 費用弁償には、かかった費用に関係ない一律支給に批判があるが、支給する868議会のうち36%の314議会が一律支給だった。

 この中で最も高額な東京都議会は23区と島部の議員に1日当たり1万円、それ以外に1万2千円を払う。島部の議員には船賃、飛行機代は別に支給し、13年度の総額は5224万円だった。1日4千円を支給する港区議会。同区は公共交通機関も多いが、議会事務局は「議員は忙しいのでタクシー利用を想定している」。だが、自転車や徒歩で登庁する議員もいるという。

 一方で、実費支給への切り替えも進む。三重県四日市市は「定額支給だと支給根拠が不明確だ」として、11年4月から一律5200円支給していたのを実費に変えた。10年度に総額1455万円だったが、13年度は約10分の1になった。


 

2015年3月2日月曜日

川口市の投票率アップに「商品券事業」の活用を!!!

<川口市議のブログより>

わたし木岡が2月24日に行った本会議での質問の中で取り上げた川口市の投票率アップに向けた「商品券事業」活用の提案が25日付の朝日新聞埼玉版に載りました。※上記PDFをクリックいただければ記事がご覧になれます。

政府が進める地方創生にかかわる交付金は、商品券事業に使えるため、川口市としても例年以上の規模での商品券事業を検討していました。ですから、その事業の一部を4月に行われる統一地方選挙における投票率アップ作戦に使ってはどうかと議会で取り上げました。

以下は、質問の要旨です。

『昨年3月議会で投票率向上に向けて、「投票した方に何らかのサービスを提供する制度の検討」を批判覚悟で質問しました。質問後、確かにご批判もいただいたのですが、それ以上に賛同もしくは理解を示していただくご意見を多く頂戴しました。

低投票率の責任は、一義的には政治に携わる私たち市議会議員にあると思います。本来、投票率向上は、市民に対して政治家も行政も真摯に政策や実施事業などを訴えて、関心を持ってもらえるようにすべき課題であると考えております。ですからメリットで釣って投票を促そうという考え方自体に問題があると十分認識しております。

選挙権は、義務ではなく権利ですから、放棄する権利も当然に成立すると思います。そうであるならば棄権した方にペナルティーを課すことは否定されるべきです。一方で、権利として行使された選挙権に対して、何らかのサービスを提供することはあり得るのではないでしょうか。

選挙権を行使した方に対してサービスを提供する制度が良い制度かと問われれば、私も良いとはまったく思わないことを明確にした上で、それでもなお、あえて再度質問したいと思います。

本市の低投票率に一石を投じるために、この4月の統一地方選挙から投票した方に対してきらり川口商品券を500円程度配ってみてはいかがでしょうか。ちょうど、国が「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を創設しました。市長も施政方針においてこの交付金の活用について触れていましたが、この交付金を財源にして挑戦してみてはいかがでしょうか。』

この質問に対する市の答弁は、「最近の選挙における投票率が低下傾向にあり、本市においても深刻な状況にあることは十分に認識しております。(中略)投票率向上の対策について、十分に検証する必要があり、今後も引き続き研究していきます」

埼玉県内で最下位投票率の自治体としての当事者意識があまりに感じられない答弁と言わざるを得ず、非常に残念です。昨年3月に行われた県議会議員の川口市選挙区の補欠選挙の投票率などは、たったの13%の自治体ですから、普通に投票に言って下さいと言う時期ではないと思っています。

そのため質問は、以下のように締めくくりました。

市民の皆さんからよく耳にする、「投票したい立候補者がいない」との声は、政治に携わる者として真摯に受け止めなければなりません。ですから自戒を込めて申し上げますが、議員自身が、必死に勉強して自分の頭で考えて世間で議論を起こすくらい“とがった意見”を提起できるようにならなければと思います。

同時に、市民の皆さんにも訴えたいと思います。政治が酷い政治家が悪いと言うだけでは、いつになっても政治は変わらないのだと思います。突然どこからともなくヒーローが現れて良い政治、良い社会を作ってくれるなんてこともないと思います。また、“強いリーダーシップ”といって市民から白紙委任を取り付けようとする政治家ほど胡散臭いものはないと思います。私も一人の市民として訴えます。政治は遠い国の話ではなく、私自身が日々暮らすこの社会をどうするか決める場であります。日常生活では実感が乏しいかもしれませんが、政治は市民の皆さんの生活を大きく左右しています。どうか政治を自分のことと捉えて下さい。投票に行って下さい。

偉そうに正論を言いまして大変申し訳ありませんでした。それでも重ねて、どうか投票に行ってください。以上で質問を終わります。

2015年3月1日日曜日

議案への議員賛否、公開52% 4年前の3倍 地方議会

<朝日新聞より>

 全国の地方議会の52%が、議案に対する個々の議員の賛否を公開していることが朝日新聞のアンケートでわかった。住民との対話を図る議会報告会も42%が開催。いずれも4年前の約3倍にのぼる。住民との距離を縮める取り組みが広がる一方で、閉鎖的な議会も少なくない。

 アンケートは1月中旬以降、都道府県と市区町村の全1788議会を対象に実施。2月中旬までに全議会から回答やデータを得て、4年前の全1797議会の回答と比べた。

 各議員の賛否を公開している議会は、都道府県・政令指定都市で11%から39%、市区で17%から65%、町村で14%から43%に増えた。非公開の議会からは、理由について「賛否が割れたことがない」「公開について議論をしたことがない」という回答が目立つ。

 住民との意見交換の場となる議会報告会を年1回以上開いている議会の割合は、都道府県・指定市で8%から19%に、市区で13%から51%に、町村で16%から36%に増えた。

 議員が自ら政策立案する動きも広がりつつある。議員提案により政策条例を定めた議会数は、この4年で266。前回調査よりも107増えた。

 議会での議論を活性化させるルールを定め、賛否公開や議会報告会の導入を盛り込むことの多い議会基本条例。制定している議会は41%で、4年前の3倍近くにのぼった。きっかけは自治体の要望を受けて政府が2000年に施行した地方分権一括法だ。地方の裁量と責任が増す中、北海道栗山町議会が06年に初めて制定し、他の議会も続いた。

 賛否公開、議会報告会、議員提案の条例制定、議会基本条例が全て「あり」の議会は9から87に増えた。人口減少が進む長野県飯綱町もその一つ。寺島渉議長は「地方の課題への解決策は国にもなく、地方議会の役割は重要。政策能力を高めてアイデアを出さねば生き残れない。地方創生担当相も議会の関与を呼びかけている」と語る。

 一方、4年前から半減したものの、全て「なし」の議会も27%ある。都道府県・指定市はゼロだが、町村議会は38%、市区議会は17%が「なし」だった。県庁所在地は前橋、岐阜、徳島の3市、東京23区は6割の14区が該当していた。(三島あずさ)