2016年8月13日土曜日

議員にも選挙期間中のビラ配布解禁を

<武蔵野市議のブログより>


知事や市長は配布できるのに自治体議員は選挙期間中に政策を書いたビラを配布できない。このおかしな状況を改善しようと新たな動きが始まった。

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 自治体議員が選挙期間中にビラ(文書図画)が配布できないのは、公職選挙法第142条の4で国会議員選挙と都道府県知事又は市長の選挙と定められているためだ。
 そのため、政策を伝えようにも書面を配布できないので、街頭や街宣車で大きな音を出す、もしくは電話で有権者に訴えるしかないのが現状だ。

 その現状を変え、市長と同じように議員にも配布が可能にするよう公職選挙法を改正しようとの決議が8月2日、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の総会で提案され会員が了承。7月3日に開催されたマニフェストサミットで、この提案アピールが主催者のローカル・マニフェスト推進地方議員連盟から行われた。今後、各地の市議会などで意見書を国へあげる動きと同時に国会にも働きかけて行く予定だ。

 選挙期間中にビラが配布できるように公職選挙法を改正する運動は、同議連でこれまでにも行われており、熊本県議会、長野県議会などで意見書が採択されているほか、国会議員や総務省への働き掛けも行ってきた。
 
 このこともあってか、平成28年4月1日に参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会で、『有権者が候補者の政策等をより知る機会があることは、選挙において有権者が適正な判断を行い、投票行動に活かすことができるなど、参政権の行使にとって重要であることに鑑み、地方公共団体の議会の議員の選挙においても、選挙運動のために使用するビラを頒布することができるものとすることについて、今後各方面の意見を聞くなど速やかに検討を進め、必要な措置を講ずるものとする』と書かれた「公職選挙法改正に関する付帯決議」を全会一致で可決されている。

 また、全国市議会議長会要望(総会決議)でも「地方議会議員選挙における住民と候補者の接点の拡大と政策本位の選挙の推進を図るため、公職選挙法第142条に規定する法定ビラの頒布を地方議会議員選挙においても認めること」と議員選挙での法定ビラ頒布の制度化を求めている。

 インターネットでの選挙運動が解禁され、ネットでは文章が画像を表示することができている。政策を伝えるための文書を配布できないほうがおかしなことだ。選挙スタイルを変えることにもなるかもしれない。

 今後、自治体議会の動きや国会次第ということでもあるが、改正に向かい大きな動きとなりそうだ。


 画像はマニフェストサミットでこの運動を提案した草間剛横浜市会議員。下記は、決議文。



 地方議会議員選挙におけるマニフェスト解禁についての要望決議(案)

~地方創生の鍵は政策本位の地方議会議員選挙から~

地方議会議員選挙におけるマニフェスト解禁についての要望決議


人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、国と地方が一丸となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生できるよう取り組む「地方創生」の重要性が更に叫ばれる中で、首長とともに地方自治体における二元代表制の一翼を担う議会の役割が大きく問われている。

地方創生の鍵となるのが、国からの押し付けではない、各自治体の地域活性化につながる自立した様々な政策であるならば、その政策を首長とともに推進していく地方議会の選挙のあり方を政策本位にしていくことが地方創生には欠かせない。地方議会選挙において選挙期間中に有権者に何も配れない、政策を伝えられない現状はこの趣旨から大いに逸脱している。特に、18歳まで選挙権が拡大された今、未来を担う有権者に政策を届けられないことは必ず改善されなければならない。

ここに、全国超党派800名の地方議員から成る、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟は、自主自立の地方創生を地方議会から完遂していくため、来年予定されている東京都議会議員選挙、並びに2019年予定されている統一地方選挙に間に合うよう、公職選挙法第142条に規定する法定ビラの頒布を地方議会議員選挙においても認めるよう、公職選挙法の改正を要望する。


平成28年8月2日
ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟

http://blog.livedoor.jp/go_wild/archives/52467815.html

2016年8月12日金曜日

二元代表制なのだから・・・

<八潮市議のブログより>


初の女性都知事となった小池さんを大勢の都庁職員が拍手で出迎えたそうだが、「都議会各会派へのあいさつ回りでは、最大会派の都議会自民党(60人)の出迎えはわずか2人と、早くもさや当てが演じられた」との報道があった。

幹事長等の幹部が出迎えるのが通例との報道であったが、他の自治体も同じように首長が代ると、議員たちが同様に出迎えるのだろうか?

知事は行政の長だから、職員が出迎えるというのはわかるけど、二元代表制の一翼を担う議員が出迎えるというのは、初めて聞いた。

八潮市の場合は、今は首長選挙と市議選が同日だが、かつては別々の日に選挙をしていた。随分昔のことだからあまり記憶がないのだが、出迎えた記憶は全くない。他の会派の場合は出迎えていたのだろうか?これについては、あとで確認してみることにする。

今回は、都の自民党の会派のドンを批判して選挙戦を戦った知事だから、長年の慣習を破り、2人二なったのだということはわかるけど、そもそも論として、首長と議員は、共に都民から選ばれているのだから上下関係にはない。だから、今回から、こういった慣習は止めてみたらどうだろうか。

また、二元代表制なのに首長与党と自称する会派もあるが、これもおかしい。全議員が都民派として都民のために働けば、きっと大きな変化が出てくると思う。

首長と議員は対等で、両者が都民目線で政策論議をするようになれば、首長提案の議案もすべてそのまま可決とはいかないし、緊張関係は増すだろうが、そういう関係が本来の在り方です。そうなれば、議会も執行部へのお願い型から、政策提案型へ変わることができるのではないだろうか。


http://diary.e-yazawa.her.jp/?eid=877311




2016年8月11日木曜日

マニフェストサミット2日目 〜公選法改正・課題解決する議会〜

<江東区議のブログより>

昨日午前中は、マニフェストサミット2日目に、インターン生と一緒に参加しました。

冒頭で、1日目に参加議員が持ち寄ったチラシのコンテスト。

私が持参したアニュアルレポート、と区議会レポート投票で2位をいただきました。



同じ得票数で2位の小諸市議会の小林じゅんたろう議員のレポート。

「もつ煮」的な政策提言!  表現がキャッチーで見やすいです。


 

1位は甲府市議会の神山玄太議員のレポート。

デザイン性も優れていて、読みやすい素敵なレポート。

神山議員は同期当選で大学院の同窓生でもあり、切磋琢磨している関係。

私も見習いたいと思います。

 



 

「熊本地震に関する課題共有」


熊本地震のお話では、被災時、被災後の課題やマニフェスト大賞実行委員会のメンバーが元マニフェスト大賞実行委員会の大西一史市長と意見交換した際のお話などがあり、10月に企画されている熊本視察勉強会のお話もありました。




 

「公職選挙法改正や都知事選の総括などについて」


北川先生や片木先生など、公共経営大学院でお世話になった先生方、毎日新聞の与良氏による都知事選の総括のお話、公選法改正のお話など大変タイムリーで勉強になりました。

コーディネーターの草間剛横浜市会議員の仕切り、お話を引き出す対話力はさすがで、とても盛り上がったセッションでした。

このセッション内容は次のブログで詳しくご紹介する予定です。



「課題解決する議会に向けた委員会活性化のお話など」



 

 宮古市議会や多治見市議会の委員会活性化事例など、大変参考になるお話でした。

大変学びのある2日間。

議会活動に活かしていきます。


マニフェストサミット2日目  スケジュール

9309:50
熊本地震に関する課題共有、メッセージ

【政策提言】9:5010:50
「公職選挙法改正に向けて ~マニフェスト解禁と政策のあり方~

  北川正恭 (早大名誉教授、早大マニフェスト研究所顧問)
  片木  (早大教授、早大マニフェスト研究所シチズンシップ部会長、旧自治省選挙部長)

  与良正男 (毎日新聞社専門編集委員)

 コーディネーター

  草間  LM推進地方議員連盟共同代表、横浜市会議員)

【先進事例報告】11:0012:30
「課題解決する議会へ ~委員会活性化と政策提言~

  宮古市議会 「定住化促進対策に関する提言書と総合戦略への反映」
   ---定住化促進対策特別委員会委員長 松本尚美

  多治見市議会 「総合計画の修正案の提出と反映」
 
   ---前第7次総合計画策定特別委員会委員長 石田浩司

   ---執行部側 企画部長(前議会事務局長) 鈴木良平

  八尾市議会 「(仮)委員会における所管事務調査と提言」
 
   ---文教常任委員長(所管事務調査を導入した当時の議長) 田中久夫
【先進事例報告】12:3012:45
「マニフェスト・スイッチで変わる、政策の伝え方」

  青木佑一 氏(早大マニフェスト研究所事務局次長)



http://www.suzukiayako.com/archives/52282811.html

2016年8月10日水曜日

マニフェスト大賞活用のススメ

<政治山より>

政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)の連載・コラムです。

 地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された同団体は、地方自治体の首長、議員や地域主権を支える市民の活動実績を広く募って表彰する、「マニフェスト大賞」の運営に携わっています。今年で11回を数える同賞は、71日から応募が始まり、1111日の表彰式で大賞と各賞の最優秀賞を発表。応募開始にあたって実行委員の皆さんに、マニフェスト大賞に寄せる思いや、これまでの成果を綴っていただきます。今回は、マニフェスト大賞副実行委員長の鈴木綾子 江東区議会議員にご寄稿いただきました。

        

 2006年にスタートしたマニフェスト大賞は、昨年記念すべき10回目を迎え、今年2016年は11回目の開催となります。

 地方議員・首長・地方議会などの優秀な取り組みを表彰・発表する機会として開催されたマニフェスト大賞、現在では受賞者の裾野を広げ、「地域から日本を変える」志を持った市民・学生団体・行政関係など様々な方々が集い、切磋琢磨する場に進化しています。

 71日から応募が開始し、831日が応募締め切りとなるため、地方議員の皆様には例年、8月中旬~末にかけて優秀な政策提言や活動について応募のお願いをさせていただくこともあります。

 「毎年応募することに意味があるのか」「この内容で果たして受賞に値するのだろうか」「マニフェスト大賞に参加する意義はあるの?」というご質問なども地方議員の皆様から時々いただきます。

 今回は、これらの質問にお答えすべく、地方議員の皆様に対し、「マニフェスト大賞活用のススメ」について、私自身の経験をもとに2つのお話をさせていただきます。

第8回マニフェスト大賞

8回マニフェスト大賞(ネット選挙・コミュニケーション戦略賞審査委員会特別賞)授賞式の模様(2013111日)

マニフェスト大賞活用法


その1:自分自身の1年間の取り組みを振り返る

 地方議員の皆様は、4年に1度の選挙の前に、1回は必ずこれまでの取り組み内容や実績を振り返り、成果としてレポートを発行したり、ホームページを更新されたり、報告会などを行って有権者の方々にお知らせしているかと思います。年単位、半期単位、月単位など、期間を決めてご自身の活動を振り返っている方もいらっしゃいます。

 しかしながら地方議員の活動は議会活動、地域活動、選挙応援など様々な活動があり、忙しい日々を送る中で「振り返って自分の活動実績をまとめる」という行為は後回しにされがちなのが現状です。

 マニフェスト大賞の応募期間である7月~8月は学生でいうと「夏休み期間」。

 学生時代に戻った気持ち、「夏休みの宿題」に取り組む気持ちで年1回、夏の期間に自らの活動や情報発信などを振り返り、「応募作品」としてまとめを行うことは、ご自身の成長の軌跡をまとめることでもあります。

 また、応募した作品が受賞につながれば、ステップアップにもつながり、さらなる活動意欲もわいてきます。

 私も、毎年夏の時期に、マニフェスト大賞応募を通じて自分の議員活動や情報発信内容を振り返り、資料化して活動内容の見える化をしています。私自身も毎年応募し続けるなかで、3年前の第8回大会では、日ごろの情報発信の取り組みを評価していただき、「ネット選挙・コミュニケーション戦略賞」を受賞することができました。切磋琢磨する地方議員の仲間も増えました。

 受賞以降も、毎年応募を続けていますが、「応募する」という作業の中で自分の日ごろの議員活動の良いと思う部分、見直したい部分なども見え、「断捨離」をすることもできますので、おすすめです。

その2:優秀作品から「TTP

 マニフェスト大賞が目指しているのは、「ともに学び合い、地方議員・議会のレベルアップを図ること」でもあります。

 ローカルマニフェスト推進地方議員連盟(以下、地議連)の会員の皆様や、マニフェスト大賞参加者の皆様には、地方自治の政策集といわれる大会冊子をお配りしています。

 また、会員の皆様向けの専用サイトでは、毎年の受賞作品やノミネート作品も閲覧することができます。大会冊子には、受賞者の応募作品の取り組み概要や、実現に至るまでの過程がコンパクトにまとめられており、専用サイトには、ノミネート作品の詳細な資料の掲載もあります。

 日ごろの議員活動に活かしていただけるだけでなく、ご自身が応募作品をまとめていただくための参考ともなります。

 また、地議連では、地方議員向けの勉強会を東京および全国各地で定期的に開催しています。これらの勉強会に参加して参加者同士でつながることで、受賞者の方々から直接お話を伺ったり、情報共有を行ったり、学びの場として活用することができます。

 よい取り組みは「TPP」(徹底的にパクる)。地方議員の政策や議会質問などの取り組みには著作権はありません。徹底的に「パクって」自分自身の政策や情報発信に取り入れていくことで、更なる自己研さんや議会の発展につなげることができます。

 ぜひ、皆様も「TPP」を合い言葉に、優れた政策、取り組みを吸収し、自分自身のものにする視点を持ってマニフェスト大賞を活用していただけると幸いです。

 最後になりますが、マニフェスト大賞の応募期間は71日~831日まで。夏休み期間を活用し、ぜひ積極的なご応募、勉強会へのご参加をお願いいたします。

マニフェスト大賞 公式ホームページ
ご応募はこちらのページから



鈴木綾子 江東区議会議員
著者プロフィール
鈴木綾子(すずきあやこ)
1975
年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、通信会社で法人営業に従事。仕事と子育ての両立に関心を持ち、2009年、早稲田大学大学院公共経営研究科でワーク・ライフ・バランスを研究。2011年、同研究科修了後、東京都江東区議選で初当選。通信会社出身のバックグラウンドを生かし、「ICTを活用した住民サービスの向上」「ICTを活用した議員活動の見える化」などを推進。SNSと連動した区政報告座談会「あやこcafe」などの開催を行っている。
鈴木あやこ Official Web Site
facebooktwitter


http://seijiyama.jp/article/columns/lm/lm20160804.html

2016年8月9日火曜日

できない理由を考えるのではなく、できる方法を考えてほしい by小池百合子

<名古屋市会議員のブログより>

「できない理由を考えるのではなく、できる方法を考えてほしい。」都庁職員に対する小池百合子都知事訓示の一節。

全くその通りだが、その言葉だけでは、公務員の働き方や意識は変わらない。小池新都知事がいかに公務員の意識改革に取り組むのか、カイゼンが進みやすい職場の仕組みづくりを進めるのか、その具体的な手立てにすべてがかかっている。

さて、公務員の中には、日々カイゼンして利益を残す必要性がないと考えがちな方も少なくない。従来おこなっていた事務事業を変革することにより、失敗したりすれば、その職員は責任を負わされるだけでなく、減給や退職につながる恐れがある。したがって、確実性を尊び、変化を嫌う傾向にあるのが公務員の特性だ。ましてや部署を転々とさせられて、専門性が身につきにくいこと、民間ではないような特別な業務により、つぶしが利かないため、転職が難しいと感じている公務員が多いことも変革を嫌う一因となっている。

ここで、公務員の仕事を考えてみる。
1.
 仕事を増やしたくない
市役所の窓口などで市民から何らかの要望を受けたとして、制度を改善する余地があるにもかかわらず、決められた法律を盾にしておけばそれ以上の手続が必要なくなると考えて、要望を断ってしまう。

2.
 業務の押し付け合い

新たな事務事業が生じると、業務の内容に応じて担当課や係を決めて業務の割り振りを行う。しかし多くの業務は、さまざまな部署にまたがるものが多く、いくつかの部署が仕事を増やしたくないために、お互いに業務の押し付け合いを行ってしまいがちになる。

3.
 組織の縦割りの弊害

「タコつぼ化」した組織は自分の組織の都合しか考えない。自部署は被害者、他部署は加害者となり、多くの問題は、組織間の連携で起きるにもかかわらず、市役所は組織崩壊となりかねない。

これらの課題に対応するため、小池新都知事は「都政改革本部」を庁内に常設すると表明した。外部人材を登用し、「過去の慣例にとらわれない『都民ファースト』の改革を進める」と決意を述べている。私の経験で申し上げれば、内部を十分知らない外部の方々が的外れで適当な発言を繰り返すことによってさらに内部の意識改革が止まる事例を繰り返し見てきた。名古屋市における外部アドバイザー制度や外部による行政評価、いわゆる事業仕分けが全く機能せず、かえって意識改革が機能不全となった事例はその一例と言っていいだろう。

そのような中、全庁的で局横断的な政策立案を進めるための「地方創生局」を設置し、全国で唯一「地方分権改革会議」を設置するなど、職員一丸となって地方創生を進めカイゼンを強力に進めている徳島県の事例は参考に値すると言っていい。合言葉は「vs東京」。

 徳島県  vs東京

http://www.vs-tokyo.jp/

現状が最も安定していると考えがちな公務員の意識。しかし、現状の延長線上に必ずしも未来があるとは限らない。カイゼンを進める担い手は、実は職員自身しかいないということに都知事も都庁職員も気づいたとき、「できる方法を考える」組織が動き出す。

2016年8月8日月曜日

8/2 市議会の質問のやり方を変えるために~要望をいただいた市民から市議会が直接意見を聴きました

<朝霞市議のブログより>

2日午前、市議会の議会運営委員会が開かれました。

議題は、市議会の質問のやり方の変更です。朝霞市議会では、議員から行政への質問は、質問演説に答弁演説を3回だけ繰り返す「一括質問・一括答弁」方式のままです。質問と答弁の掛かり方がよくわからないので、質問項目が増えてくると、何に聞いて何に答えているのかわからなくなり、市民にはわかりにくいやり方だと指摘され、全国の自治体の議会が、一つの質問に一つずつ答弁していく「一問一答方式」に移行しています。朝霞市議会でも、このやり方の変更を検討していますが、歩み寄りの議論が成立せず、4年にわたって議論をし続けています。

しびれを切らした議会ウォッチをしている市民から、そろそろまとめるよう促す請願が議会に提出され、今回、請願を提出した市民から、意見をしていただく機会となりました。
請願者からは
・今の演説原稿型の質問は、聴いている人からはわかりにくい
・やり方の変更にあたって問題になっている質問時間は、議会の年間審議日数を見れば今より制約する必要があるのか。ただし冗長な質問もあってもっと簡潔に質問する努力も必要
・早く議会が歩み寄って、わかりやすい議論となる工夫を始めてほしい
・請願も紹介議員を求められた。紹介議員のなく請願権を保障する方法を考えてほしい
などの指摘を受けました。

現状、市政全般に対して議員が質問できる「一般質問」で、朝霞市議会は、質問時間25分で質問答弁3回までとなっています。議会のインターネット録画公開を見ていただければと思いますが、確かに議員が上げるいくつかのテーマのうち1つに関心のある市民にとって、今の朝霞市議会の論戦の形式では、聴くにはつらい構造になっています。早急な改革が必要だと考えています。

質問のやり方の変更には、従来の質問答弁3往復の時間配分をどう変えるのかという問題がつきまといます。
そのなかで、行政を擁護する立場にある与党議員は、行政が困らないように質問時間は改革と同時に短く刈り込むことを求め、過去の質問者数が少ない時代に長めに設定した質問時間を守ろうとする野党の一部議員は徹底抗戦して拒否権を発動するので、いつも話が物別れに終わります。
私は議会ルールの変更は原則的に全員一致とすべきだと思いますが、できるだけ多数の合意を得るよう、そろそろ妥協点を探るべき時期にきているのではないかと思います。


質問時間の設定に関して、与党議員が口頭で提起してくる著しく短い質問時間には、現状からの変更としては急激すぎるように思います。また与党議員でもそれなりの時間を使って質問をされる議員もおられます。その実態も含めて検討されるべきではないかと思います。
質問時間制限の数え方も、質問時間だけで制限するのか、質問と答弁を込みで制限するのか、ということも大事なテーマです。
私は、答弁込みで制限するのはふさわしくないと思います。現状の答弁でも、議員の質問を再確認する文言、市の様々な計画書に書いてあるような事業の定義などが前置され、冗長な答弁が多く見られます。質問答弁込みの時間制限を行えば、だらだらした答弁を返せば議員の質問権への干渉として機能することになります。
議会の権利として考えるなら、質問時間だけで設定すべきだと思います。

現在の朝霞市議会は地方自治法が最低限に定めた議案審議と一般質問しか機能がありません。他市議会の議会改革で導入されている、決算審査での行政評価や、市民との公聴会から得た情報から政策や条例を議会として提案する機能、市の様々な計画を立案段階から説明受けて関わる仕組みがありません。そのなかで、どうしてもそうした機能を補うために一般質問に力が入りすぎるのではないかと見ています。
従来どおり一般質問の時間を多めにとって、他の機能を犠牲にし続けるのか、他の機能を活性化して一般質問への負荷を減らすのか、基本的なことから考えてみたらどうかとも思っています。
●6月定例市議会一般質問の答弁のなかで、市長が「私も時間を短くしていただければ一問一答式には賛成なんですけどね」という一言がありました。これは議会の自治権の話であり、行政が賛否を示すべきものではないように思っています。
http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2016/08/82-a214.html

2016年8月7日日曜日

議会基本条例で何が変わったか(1)

<武蔵野市議のブログより>


初の議会基本条例が施行してから今年で10年。この間、何が変わったのか。課題は何か。これから求められるのは何かをテーマに7月31日に市民と議員の条例づくり交流会議が開かれた。

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 議会基本条例は2006年に北海道栗山町議会が初めて施行した後、三重県議会などが続き、現在では約800の自治体議会で施行されている。国内の自治体議会数を約1800と考えれば、44%の議会で制定され、武蔵野市議会と同じように現在検討されている議会が制定するとなれば過半数を超える議会で制定されることが見込まれている。今や議会の標準装備とも言える条例だ。

IMG_8244 今回のシンポジウムでは、基調講演として広瀬法政大学教授が、2006年にも議会基本条例をテーマに市民と議員の条例づくり交流会議を開催しているが、当時の資料を基にこれまでの議会改革のポイントと課題について話されていた。


■二元代表制と議員の意識

 簡単にまとめてみると、日本の制度は、首長と議員を選ぶ二元代表制を採用している。ふたつの代表機関がそれぞれに自らの役割、責務を認識して互いに機能すること、慣れ合い、あるいは敵対の関係ではなく、緊張感をもって自治体運営にあたることが前提の制度だが、実際にはどうなのか。議会が政策を作り出すことをせずに首長にお願いしているのではないか。

 議会基本条例は、本来の議会の役割は何か、どのように活動するかを明文化し、議会が政策を作ることができることを示すもの。さらに、とかくブラックボックスだった議会に風穴を開け、二元代表制を機能させる大きな改革につながったとされていた。

 しかし、一方で制定しても何も変わらないとの声も少なくない。そこには、制度は作っても、首長中心主義、言い換えれば首長にお願い主義が議員意識に根付いており、ここが変わらないから二元代表制が機能しないのではないか。これは住民も同じなのだろう。そう考えると、議会基本条例を作ることだけがゴールではなく、議員の意識改革が最も大切であることを再認識したものだった。
 

■議会の役割

 良くあることだが、選挙で首長が変わると政策ががらりと変わることがある。有権者も求めているのかもしれないが、それで良いのかの問いかけもあった。首長が変わったら、政策ががらりと変わると議会は何をしていたのか。民意を反映していたのかとなるからだ。

 議会はチェック機関と言う議員は多いが、それだけで良いのか? ということだ。

 議案が提出され、質問はするものの、結果的には賛成多数で可決されていくだけというケースは、武蔵野市議会に限らず多くの議会の実情だろう。これでは首長が全てを考え、決めて、執行していくことになる。議会は何をしているか分からないと多くの人に言われるが、そのことがこの流れに象徴されている大きな課題だ。

 議会基本条例を各地の議会が制定するなかで、真の二元代表制の一翼となる議会になるためこの課題へ議会自らが仕組みを作ってきている議会が出てきている。

 例えば、三重県議会基本条例では議会に付属機関を置き、議会がより調査をできるようにしている。他の議会でも、行政計画を議決対象にする(議会が議決しないと計画が策定できない)など首長任せではなく議会が主導権を握る動きが出てきている。
 さらに、審議をより深めるためには時間が必要となり、年に四回の議会を開催するのではなく、一年中開催する通年議会の制度も広まっている。

 議会基本条例を制定するだけでなく、条例でどのように議会活動をより高めるかが示せている例だ。

IMG_8197■議会は何をするところ

■討論の広場

 この日には、栗山町議会、会津若松市議会、三重県議会から議会改革の実践についての報告もあった。内容については、すでに知っていたことだが、あらためて聞いて印象深かったのは、議会の審議のあり方だった。
 それは、論点・争点を明確に出来ているか、討論の広場となっているかの論点だ。


 討論の広場とは、栗山町議会基本条例に『議会は、その持てる権能を十分に駆使して、自治体事務の立案、決定、執行、評価における論点、争点を広く町民に明らかにする責務を有している。自由かっ達な討議をとおして、これら論点、争点を発見、公開することは討論の広場である議会の第一の使命である』と書かれていることで、議会審議の本質を示している言葉だ。

 知らないことを質問しているようでは、そんなことは知っているよ、とか、電話で聞けと言われてしまい、議会の存在意義を低くしてしまうことになる。どこに問題点があり、選択肢に何があるか。どうすれば、より住民になるのかをその場で明らかにできることになる重要な審議手法だ。このことが示されたうえで議決がされれば、結果に納得する住民が増え、議会の存在意義を高めることになるものだ。

 議会とは何をするところなのかの問に対して答えの一つだろう。議会基本条例の制定や議会改革を進めたことで実現ができているかが、問われていることになる。

(続く)











http://blog.livedoor.jp/go_wild/archives/52466669.html