2014年5月10日土曜日

できることを見える化する  京都市会の改革

<武蔵野市議のブログより>

ローカルマニフェスト推進地方議員連盟主催の研修で、京都市会を訪問させていただき、この4月1日から施行している議会基本条例について、どのような経緯で制定を行ったなどを伺った。

京都市会の議会基本条例は、毎週のように議論を重ね、できることの集大成になるのだという。先進事例の調査を行うとともに、議員同士で議論を行ってきたが、その手法は、会派で意見が異なると合意が難しくなるので会派ごとの見解、見識を聞いてから意見交換を行いみんなで合意した内容をまとめのだそうだ。
また、なぜ制定する必要があるのか分からないという出発点で課題があったが、議員の役割は自治法で規定がない。市会と議員のあるべきする姿を明文化するために必要だという共通認識の合意を得て始まったとされていた。
確かに、議会や議員は何をしているのか分からないとの意見を多く聞くことを考えれば、明文化し、議会、議員の見える化をすることは最も基本的なことだろう。
議会や議員の改革となると、報酬や定数を減らすこととなりがちだが、そもそもの仕事の内容、すべき活動を明確にできていない以上、この議論はできないはずだ。改革というよりも、議会活動の基本作業と言えるのかもしれない。議会基本条例で議会がどのように変わるのかという論点があるが、まずは自らの仕事、すべき活動を明らかにしてから、できているのか否かで判断すべきものだろう。基本条例は作成すればいいのではなく、文字通り基本的なことであり、スターラインに立つだけのことではないだろうか。そのうえで、議会ごとに何をすべきかを制定すればいいのだと思う。
正直なところ、取り立てて目立つ内容がない京都市会議会基本条例だが、このことを考えれば極めてスタンダードな条例だと言える。できないことを書き並べても意味がなく、作っただけで終わってしまう例もあるなか、実質的な条例なのだと思った。

■京都らしさ
スタンダードとはいえ、京都色を出すことには苦心したという。まずは自治体名を変えただけで使えるようなのは止め、読んだだけで京都だと分かるようなことを盛り込もうとしてきたのだそうだ。そのことから前文に京都の自治の歴史を入れたのが特徴だとされていた。
前文には『世界の人々を魅了する「文化の首都」』などの表現がある。京都ならではと言えるが、どこでも同じような条文も考えもの。自治体の特色を出すことは参考になるものだ。
他に苦心したことは、説明会とパブコメを開催したが、行政よりも少なくなったらどうするかで悩んだという。行政が行うさいに少ないと議会から言っているからだそうで、そのために各議員がいろいろと働きかけを行ったとされていた。
条文を読むと、多くの議会で取り入れてない項目がある。たとえば、議会報告会や反問権を書き込んでいないことだ。このことについて聞いてみると、議会報告会には市民が集まるのか。会派の意見がまとまっていないのに説明できるか。説明だけで意味があるのかなど意見があり、最終的にまとまらなかったので記載しなかったとされていた。ただし、やらないのではなく、どうしたらいいかを検討を続けている。効果的な内容でできれば書き加えたいとされていた。
反問権は、どのような市長になるか分からない。行政のほうが多く持っている情報を元に反問(逆質問)されるとどうなるか分からないと考えただと説明されていた。
これらの話も聞いていくと、できることを書き込んだという条文だからこその判断であり現在進行形の条文と思えた。そして、ここに現実があるのだと思った。
議会基本条例の制定を進めていく中で、全会一致を嫌がり、反対する議員が出てきて話が進まない例をよく聞く。論理的ならまだしも、天邪鬼としか思えないこともあるようで、最後は多数決で決めることで進行を妨げられないようにするのが通例だが、京都市会の場合は、全会一致にこだわったことが特徴だ。全会一致か多数決で決めるのか。どちらが正しいとはケースバイケースなので判断はできないが、参考にしたい考え方だった。
議会改革は一部のメンバーだけのものであってはならず、全議員で今後、頑張っていけるかが重要だと京都市会の議長が話されていたが、このことが最も重要だ。そして、議会、議員のためではなく、市民にとってどうなのか。この視点を忘れてはならない。京都市会の例も参考して武蔵野市議会の改革も進めていきたい。
【参考】
京都市会 お知らせ
京都市会の市会改革等の取組等について,ローカルマニフェスト推進地方議員連盟の皆様が,視察調査に来られました。


◇ホームページ http://gikaikaikaku.web.fc2.com/
◇ブ ロ グ  http://gikaikaikakukawaguchi.blogspot.jp/
※当会は「不偏不党」です。
※当会のメールマガジン登録(毎月1回の発行予定)及びお問い合わせはこちらへ

   gikaikaikakukawaguchi@gmail.com

0 件のコメント:

コメントを投稿