2016年4月7日木曜日

「非公開」の松阪市政推進会議

<松阪市議のブログより>

松阪市政推進会議の次回の予定は5月12日(木)ということですが、それまでに善処していただきたいと思います。申し入れ書の文案を作成しました。

平成28年4月 日
松阪市政推進会議 委員長
村林 守様
                       松阪市議会議員 海住恒幸


申し入れ書

松阪市長の「ブレーン組織」とも称される松阪市政推進会議は、「非公開」としなければならない正当な理由が存在しないにもかかわらず、一度ならず二度にわたって「非公開」となったことを大変遺憾に思っています。と同時に、一連の「非公開」とされた措置は、市情報公開条例を根拠に持つ「審議会等会議の公開に関する指針及び運用方針」に定める手続き通りに行われていないことから、市条例に反する決定であると考えますので、議論の経過等をご検証を願えないかと思います。

松阪市政推進会議は、竹上真人市長の強い意向を受け、市委員会条例に基づき設置されることを平成2711月定例市議会の補正予算の議決を基に、市長は自ら推す学識経験者や企業家、市民活動家らの市民等15人を委員に選任し、平成2822日に第1回会議を、続いて3月29日に第2回会議を開催したものです。平成28年度についても、議会は当初予算において関係予算を承認していることから引き続き松阪市政推進会議は運用される予定です。
では、わたしが、松阪市政推進会議の「非公開」決定のどこに問題があると考えるのかについて、経過の順を追ってご説明申し上げます。


「基本的に非公開」の第1回松阪市政推進会議
 平成28年2月2日に第1回松阪市政推進会議の開催にあたって、市経営企画部経営企画課が所管する事務局は、あらかじめ、「基本的に非公開で開催」することを決め、当日の司会者が読む台本となる会議進行表を作成のうえ、当日司会者である市経営企画部次長にその通り読ませています。

 会議進行表にはこう記述されています。
 「では、会議を始めます前に、本会議の情報公開についてですが、本会議は松阪市の政策的案件について、闊達なご意見・ご協議をいただくことが多々あることから、基本的に非公開で開催させていただき、議事録については、要旨を公開させていただきますが、よろしいでしょうか。」

 ここで委員から異議がなかったようなので、司会者は「基本的に非公開で開催させていただきますが、今回は第1回目ということもあり、事項書5の会長・副会長の選出までを公開とさせていただきます。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。」と続けています。

 かりに、委員から「異議あり」との声が上がったときには、司会者は「基本的に非公開で開催させていただきますが、本日の会議は公開で開催させていただきます。」と読むことを想定していました。

 そのいずれの場合においても、事務局は「基本的に非公開で開催」することを明らかにしている。この会議について報じた2月4日付の朝日新聞は、「原則非公開」だったことを記事にしているように、「基本的に非公開」とは、社会通念上、「原則非公開」と同一の意味があると考えます。

 松阪市は、市情報公開条例第17条の規定に基づいて委任した「松阪市の行政情報提供の推進に関する要領及び運用方針」(市訓令第36号)において、「6 市は、審議会等会議の原則公開に努めるものとする。」の規定を定めています。同規定の中で、「(運用方針)情報公開の手段のひとつであり、市政への市民参加を推進するため審議会等の会議を市民への傍聴を認めることで原則公開していくものとする。なお、会議自体が公開できない場合もあり、運用については統一的な指針(別ページ)を定めるものとする。」と書き、ルール化を諮っています。

 このように、松阪市の審議会等会議は、「原則公開」を前提としているにもかかわらず、「基本的に非公開」で開催された第1回松阪市政推進会議は、会議の「原則公開」を求めた市情報公開条例に反しています。

 「原則非公開」で開催することを市が決めたこと自体に、まずは大きな誤りがあります。

 このことについて、市長は「事務の取り扱いに関して、少しこの指針と逸脱する部分があったということは謝らせていただきたいと思います」と33日の市議会本会議で答弁しており、第2回市政推進会議にどのように生かされるかを注目していたところです。しかし、実際は、第1回市政推進会議が「原則非公開」であったにもかかわらず、「原則非公開」だった事実についてはふたをして、たんなる「事務の取り扱い」ミスで処理をして、「原則公開」であったかのように見せることは公正でありません。


「原則公開」の第2回松阪市政推進会議

3
29日の松阪市政推進会議では、冒頭、司会者(市職員)が、「会議の開会にあたり、先ほども事務局より説明があった通り、本日の会議の公開・非公開について、委員の皆さまにお諮りいたします。松阪市情報公開条例及び松阪市の行政情報提供の推進に関する要領及び運用方針並びに審議会等の公開に関する指針及び運用方針では、会議は原則公開に努めることとなっております。ただし、審議する内容が非公開情報に該当する場合や、審議する内容を公開した場合、公正または円滑な運営に支障が生じると認められる場合に限り、非公開とすることもできます。では、お諮りします。本日は、松阪市における人口減少対策について、委員の皆さまからご提案いただく予定であります。本日の会議を公開させていただいてよろしいですか。(委員より、公開・非公開に関する意見)」と発言しています。

初回であった前回(22日)、「基本的に非公開」としたことを、「事務の取り扱いに関して、少しこの指針と逸脱する部分があった」(竹上市長=33日・市議会本会議)としたことへの対応として、329日の第2回市政推進会議では、松阪市情報公開条例及び松阪市の行政情報提供の推進に関する要領及び運用方針並びに審議会等の公開に関する指針及び運用方針(以下、「指針」と省略)に従ったとして、「原則公開」とし、委員に「公開」「非公開」の可否を諮っています。

委員からは「公開されれば自由に発言できない」「公開しなければならない理由がわからない」等々、「非公開」を求める声に押される中、委員長は「非公開とするためには理由を明らかにしなければならない」として、市情報公開条例第8条(非公開の決定)の中から該当事由を探して「これなら該当しそうだ」と理由を後付けし「非公開」の決定を行いました。

委員の「公開したくない」という声を理由に「非公開」と決定し、指針との整合性をとるため、該当しそうな理由を指針の中から見つけ出して後付けしたということになります。
しかし、厳密に指針を見れば、この日の司会者の説明及び、委員長による「公開」の可否の決定方法は誤っています。

指針によると、「非公開」理由の「いずれかに該当するおそれがあるときは、会議に諮り、会議の全部または一部を非公開とすることができる」としています。
「非公開」理由の「いずれか」とは、情報公開条例第8条の第一号に挙げられている項目(個人に関する情報であって、公開することにより、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの。法人その他の団体に関する情報又は事業と営む個人の当該事業に関する情報であって、公開することにより、当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益が著しく損なわれると認められるもの。市の内部又は市と国等における審議、検討、調査、企画、研究等に関する意思形成過程に係る情報であって、公開することにより、当該又は将来の事務事業の公正又は適正な意思形成に著しい支障が生じると認められるもの等々)であるか、「公開した場合、審議妨害や委員に対する圧力等により、公正又は円滑な運営に支障が生じると認められる場合に限り適用されるもの」です。

委員長は、あらかじめ、これら「非公開」理由に該当するものが具体的に想定されるときに限って、委員に諮ることで非公開を決定できるものとしています。

ところが第2回会議では、「非公開」理由に該当するような原因は存在していないにもかかわらず、事務局があらかじめ、委員長をして「会議の公開・非公開の決定」を行うよう方向付けしており、委員長はそれに従って会議に諮っています。
そもそも、会議の非公開決定は、きわめて限定的な場合にのみ適用できるもので、委員個人の感覚での「傍聴者がいると話しにくい」という理由は考慮の対象とはしていません。条例の趣旨に従うならば、「傍聴者がいて話にくいと思われる方もお見えになるかもしれませんが、条例の趣旨をご理解のうえ、条例の『非公開』理由に該当する事由が発生しない限り、公開にご協力いただくようお願いします」などと理解とご協力を求めていくべきではなかったでしょうか。


1回、2回の誤った運用の是正を求める

第1回は「原則公開」の原則を破って「原則非公開」(「基本的に非公開」)としたこと、第2回は「原則公開」と見せかけつつも指針の誤った運用による「非公開」決定を行いました。共通する問題は、自治体みずからが市情報公開条例に基づく指針に反する行為を率先したという点です。自治体としてのコンプライアンスに対する姿勢が問われると考えます。
第1回市政推進会議が「原則非公開」となって以降、事務局職員に理由を尋ねましたが、答えは、「意思形成過程にあたる」(加藤正宏・経営企画部長)、「この会議は『審議会』ではない」(榊原典子・経営企画課長)というものでした。松阪市では「審議会等会議」を公開していますが、「意思形成過程」に当たるから「非公開」とすればすべての会議が「非公開」となってしまいます。

20年ほど昔、ほとんどの自治体で審議会等の会議は「非公開」(市民や報道関係者の傍聴を認めないもの)でした。

しかし、特に1990年代初めより、市民の知らない密室で重要なものごとが決まっていくことへの批判が高まり、決定への市民参加・協働の意義が広く認められるようになり、「意思形成過程」への市民参加と公開は地方自治体において定着していくようになりました。それをかたちにしたのが情報公開条例です。したがって、「意思形成過程だから公開できない」と自治体職員が言うことは情報公開条例の根幹を否定する行為となります。また、市政推進会議は「審議会」ではないというのなら何に該当するのでしょうか。そのために条例に基づく指針では「審議会等会議」と括っています。さらには、市議会では、市政推進会議の設置を根拠づけた委員会条例を改正し、市政推進会議の委員報酬を位置付けましたが、そこにおける「委員」とは「審議会等会議」に該当しないとすれば存在しない会議への規定となってしまいます。
担当職員自身が、市政推進会議を設置する段階から「非公開」とすることが先にあって、その理由もわからない状態にあったと言えます。わたしが職員に確認したところ、昨年の12月の時点では「非公開」で運用していくことが決まっていたということです。その時点で、「非公開」としなければならない明らかな具体的理由はどのように存在していたというのでしょうか。

考え得るのは、市長のこの発言です。

「この推進会議が他の会議と根本的に違うところがあると思います。それは、わたしもそのメンバーの中へ入ってこの会議が開催される、と。ほとんどの審議会等というのは、わたしのほうからまず諮問をさせていただく、その中で審議会の皆さま方が、そのテーマに則してさまざまなご議論をいただいて、そして答申をいただくというかたちになっていると思います。今回の推進会議というのは、いわゆる市政を進めていくうえでさまざまな知恵をいただく会議だと考えております。俗にブレーン会議と言われるのは、そういうゆえんだと思っております。この会議の性格上、ほんとうにたくさんの提案や提言をその場でいただくことになります。これが、さまざまなかたちであたかも実現するかのごとく、知恵や提案や提言なので、その時点から取捨選択をして、実行していくかどうか、また、それを採り入れることができるか、そこからの判断はありますが、それがあたかも実現するかのごとく外へ出てしまうというのは、市民に随分迷惑をかける話になると考えております。そういった誤解を招きかねないところが非常に心配である。そしてまた、委員の方々には社会的な立場もあり、委員に配慮させていただく必要もあると思っています。そうした意味から、この推進会議につきましては、発言の内容や要旨、そういったものを公開させていただくということで努めていきたい」(3月3日の市議会本会議での答弁)というものです。

これを読み解くと、あらかじめ会議そのものを非公開としておきたいという恣意的な意思が強く、市情報公開条例8条に定める「非公開」理由とは無関係に「原則非公開」を望む強い意思を感じます。会議そのものは公開しない(傍聴を認めない)代わりに、後日、会議の要旨等を公開するという市長意思を感じます。

本来、市情報公開条例と指針等は、市執行部や、審議会等の会議体が、自分たちの都合による恣意的に、市民への公開・非公開を決定しないよう、その恣意性を排除するために定めたルールです。まず、そのことを共通の認識とする必要があると考えます。

たんに、市政推進会議という、一「審議会等会議」のあり方を問題としているのはなく、市政への市民参加を保障した市政運営の基本的なところを揺るがす問題として指摘させていただきました。

会議の運営に権限を持つ委員長として、市条例及び指針等に照らし、今後の委員会運営をどうされていくかをご検討いただかなければならないと考えます。
                           以上

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