2018年5月8日火曜日

18歳投票率、さいたまの高校生に意識調査 初導入時は「お祭り」 1年で10%減、初回の反動顕著

<埼玉新聞より>

埼玉大学社会調査研究センターがさいたま市内4校の高校生を対象に行った2017年政治意識調査で「18歳選挙権」が導入された16年7月の参院選の投票行動に比べ、17年10月の衆院選は10ポイントも低落したことが分かった。
 全国の都市部でみられる傾向と同様で、松本正生センター長は「初導入時の18歳投票率はお祭りムードに後押しされた感があり、初回の高投票率の反動が顕著」と指摘。一方で「友人と政治の話をする」とした回答が微増していることを踏まえ、「息の長い主権者教育」の重要性を強調した。
 衆院選直後の17年10月に市立浦和と浦和南、大宮北、大宮西4高校の3年生(回答者1342人)に実施。参院選後の16年8月に同4校の生徒を対象に行った調査との変化を探った。
■1年で20ポイント減
 このうち、選挙権を有する高校生(256人)で「投票した」は64%で、16年参院選調査の74%から低下。逆に「投票しなかった」としたのは36%で、参院選時の25%に比べて増加した。
 市選管がまとめた衆院選の同市内の年齢別投票率は18歳が50・29%(16年参院選60・24%)、19歳は39・97%(同50・75%)。衆院選時の19歳は、約6割の高投票率だった参院選時の18歳に当たり、わずか1年後には20ポイントも急落したことになる。
 松本氏は「初回(参院選)は『記念投票』化していた要素があり、また日程が決まっている参院選と急きょ解散総選挙となった衆院選の違い、18歳選挙に関するメディアの報道量の差などもあった。こうした状況を勘案しなければならないが、17年衆院選時の投票率が平常値と捉えるのが妥当」との認識を示す。
 ただし、衆院選で18歳の全国投票率(平均47・87%)をみると、北海道や東北、四国、九州などの地方25道県で、参院選を上回る一方、埼玉をはじめとする首都圏や中京、近畿の都市部を中心に22都府県で参院選を下回るという対極的な傾向を示した。松本氏は「参院選時の高投票率現象と併せて、都市部特有の環境要因が介在しているように思う」と指摘する。
■「対話」増に光明
 一方、「友人と政治の話をするか」を問うた設問では「よくある」(3%)「ときどきある」(16%)が計19%で、16年時の計17%から微増。「家族と政治の話をするか」でも「よくある」(11%)「ときどきある」(40%)が計51%で、16年時の計35%を16ポイントも上回った。
 松本氏は「18歳選挙権の実現を契機とした若者の政治参加志向も、わずか1年でしぼんでしまうのかと思われるようだったが、友人や家族間での“政治対話”が少しずつ増加している。良き変化の兆候として受け止めている」と光明を指摘する。
 18歳選挙権の導入を契機に小学校から高校に至る各段階で「模擬投票」の実施など、主権者教育に焦点を当てた取り組みが各地で広がっている。
 松本氏は「主権者教育に関する地道で身近な取り組みは、ようやく端緒についたところ。若者から大人まで、生涯にわたる『投票の習慣付け』の効果を確認するには10年、20年かかる。主権者教育を息長く続けていくことが大事」と述べ、「継続は力なり」を強調した。
http://www.saitama-np.co.jp/news/2018/05/01/04_.html

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