2017年8月7日月曜日

なり手不足、地方議員選挙ビラ解禁……地方議会の今後を考えるサミット開催

<THE PAGEより>

最新の議会改革を学び、これからの地方経営を考えるマニフェスト・サミット2017 が31日都内で開かれた。全国の地方議員、議会事務局職員ら約150人が参加。地方議員のなり手不足に対する取り組みなど先進議会の事例報告のほか、6月の国会で成立した地方議員選挙のビラ配布を認めた改正公職選挙法をテーマに、地方議員のマニフェストで地方を変えることができるかを学んだ。

議員のなり手確保のため、検証など実施

地方選挙でのビラ配布を認めた公職選挙法の改正をテーマにしたパネルディスカッション

 政策本位の地方議会を目指すローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の総会に合わせ、研修会として実施した。
 高知県大川町が議会に代わる「町村総会」設置の検討を始めたことを受けたセッションでは、長崎県小値賀町議会の立石隆教議長が、2年前の統一地方議会前に50歳以下の議員報酬を通常の月額18万円から同30万円に上げる特別条例を設けた経緯について報告。
 議会の特別委員会で地方創生を論議する中、「人口減少問題のかぎを握る若手や女性議員の意見を反映させることが必要」と考え、子育てで収入が必要になる40、50代の町職員給料と同水準にする対策を立て、「全議員で候補者も探したが、結局見つからなかった」と述べた。
 北海道浦幌町議会事務局の中田進議事係長は、2年前の統一地方選で定数13人が11人に削減したにもかかわらず、立候補者が足りず、欠員1人となり、もともと進めてきた議会活性化も、議員のなり手不足検証を最優先に取り組んできたことを説明。会社員が議員として活動できる補助金設立など意見書をまとめて国に提出したことを話した。

地方選ビラ解禁で政策中心の選挙に

 また、同連盟が実施を求めてきた、地方議員選挙における公費の政策ビラ配布を認める公職選挙法改正(2019年3月施行)について、衆議院政治倫理審査会会長を務める逢沢一郎氏、早稲田大名誉教授・北川正恭氏、朝日新聞論説委員の坪井ゆづる氏らが、パネルディスカッションした。
 逢沢氏は県議選、政令都市議選、市議選それぞれ公費で認められるビラの配布枚数が異なることや、町村議選が対象から外れたことなどの今回の法改正の内容を説明し、「配り方など制限もあり、使い勝手は悪いところもあるかもしれないが、(改正法施行後となる)次の統一地方選でのビラ活用は、選挙運動の大きな転機になる」と語った。
 坪井氏は「このビラが、従来の選挙公報と違うものになるかは候補者次第」「地方選挙は投票率が下がり続けているが、それは議員が評価されていないことの裏返しだと思う。ちゃんと政策で選挙を競い合うことで投票率が上昇するか、期待している」と、候補者がそれぞれの地方の実情に即したマニフェストを描くことで地方議会の信頼向上につながることを望んだ。
 北川氏は、国から補助金をもらって施策に取り組む首長・執行部からは改革が難しいとし、中央集権から地方分権、そして実質的改革へと「議会が全体の立ち位置を変える。パラダイムの変化」が必要と述べ、「地方創生は議会が積極的に連鎖を起こし、議会が地方、地方が国を変えていかないといけない」と出席した議員の一層の奮起を求めていた。
 このほか研修会では、通年議会を取り入れている大津市議会や、住民の意見をより反映させるシステムをつくっている岐阜県可児市議会、定時制や特別支援学校を含む府内の高校に出前授業を実施した大阪府議会の事例報告があった。
https://thepage.jp/detail/20170731-00000012-wordleaf

2017年8月6日日曜日

議会選出の監査委員は必要か

<武蔵野市議のブログより>


 7月30日に開催された市民と議員の条例づくり交流会議の全体会で、議会選出の監査委員は必要かをテーマに議論が行われた。

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■現状の課題

 このテーマは、地方自治法が改正され、議会選出の監査委員を選ばなくても良いようになったからだ。

 その背景は何か。現状を考えると、議会の第一会派が議長、第二会派が副議長、第三会派が監査委員というように会派バランスで割り振られる名誉職。あるいは、議長、副議長経験者の「あがり」の職となるケースは少なくない。

 また、監査委員の事務局職員は市長の部下でもあることから、二元代表制といいながら、執行機関に議員が入っていいのかの課題もある。

 これらのことを考えると、実際に機能しているのか。仕事をしていると疑問が出てくるのは言うまでもない。

 そこで全体会では、法改正の発端となった地方制度調査会の委員であった江藤俊明山梨学院大学教授による基調講演の後、元監査委員事務局職員と監査委員を経験した議員から議会選出監査委員の在り方や本来の仕事について報告があった。


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■議員と専門家

 議論では、機能していないのであれば、議会選出の監査委員ではなく、会計の専門家である会計者や税理士、監査法人などにやってもらったほうが機能するのではないか、との意見もあった。

 しかし、何もしない監査委員よりかはいいかもしれないが、行政は民間会社とは異なる手法で自治体を運営している。地域によっても事情が違う。一律に数字だけで判断できないので難しい。市民代表の視点も必要と考えれば、議会選出の監査委員は必要との意見が強かった。

 さらに議論を重ねていくなかで、議会で入手できない情報を得られるのが監査委員。それを議会全体の情報として活用できるのか。監査委員になった議員個人の「得点」に使ってしまうのでは意味がない。
 議会が選出する以上、どのように監査をするのか。監査委員の情報を活用できる仕組みも作り、そのために適切な議員を選ぶべきではないか、との結論となった。

 会派バランではなく、やるべき仕事を明確化したうえで適任者を選出すべきとの結論だ。


■やりすぎると

 議論では、力量のある議員がやれば、機能以上の働きが可能だ。しかし、やりすぎると監査委員事務局や執行部との軋轢を生み結果として情報がでて来なくなる可能性もある。

 また、最悪の状況になる前にアドバイスをして回避できるようにすることもできる。病気になる前に薬を与えて直すようなことも監査委員はできる。執行部が監査へ出す情報は、基本的に出したくない情報なので、なれ合いになるべきではないが、敵対関係になるべきでもない。このバランスが重要との話も出されていた。  

 バランス感覚を持ったスーパー監査委員が出てくればいいのだが、そのような議員はそう多くはないだろう。優れた議員を待つより、誰でもが監査ができる制度を作るべきではないかとの提案もあった。
 

■必要か、不要か。再考の時期

 法の改正は、議会選出の監査委員をなくす場合には、条例を制定することを求めており、何もしないと現状が続くことになる。不要か現状維持か。もしくは、さらに機能する監査委員にするか議会の判断が求められていることでもある。

 もし、現状のままで議会選出の監査委員を続け、財政の破綻や違法な税金の使い方が見つかった場合、議会は何をしていたのか。なぜ見つけることができる議会選出の監査委員をなぜ選出したのかが問われるかもしれない。議会の判断が問われてくるのがこれからだ。

 議会選出の監査委員。不要か必要か。必要などのような機能、仕事をすべきか。再考すべき時期にきている。


【参考】
法改正で議選監査委員をなくすことも可能に


http://blog.livedoor.jp/go_wild/archives/52498037.html

2017年8月5日土曜日

取手市メールマガジン ひびきメール(議会情報)


<取手市議会より>
 
おはようございます。取手市議会事務局です。

本日81日、取手市議会だより「ひびき」第220号を発行しました。

 
平成2968日から622日まで行われた平成29年第2回定例会の内容を中心に掲載しています。

また、平成2962日(金曜日)に18人の議員で行われた、いじめ防止対策についてのワールドカフェ方式(対話による課題抽出)を用いた意見集約の様子を1ページに、平成29626日(月曜日)に行われた、26人の新採職員と22人の議員によるワールドカフェ方式を用いた意見交換の様子を10ページに掲載しております。

ぜひご覧ください。

 
掲載内容は次のとおりです。

1ページ いじめ防止対策決議、総務文教常任委員会の取り組み

2ページ 市長提出議案の議案と討論

3ページ 議員提出議案の議案と討論、議員の研修に職員も尽力、市内踏切を委員会視察・県に意見書提出

4ページ 一般質問(小堤・吉田・染谷・齋藤議員)

5ページ 一般質問(阿部・石井・関川・入江議員)

6ページ 一般質問(遠山・加増・小池・山野井・岩澤議員)

7ページ 一般質問(飯島・落合・池田・関戸・細谷議員)

8ページ 請願・陳情の討論

9ページ 陳情の討論(続き)、採択された陳情への対応、平成29年第2回定例会の議決結果

10ページ 新採職員と議員の意見交換、意見交換を中心に議会報告会を開催、議員表彰、平成29年第3回定例会会期日程(案)

 

なお、「ひびき」は次の方法でご覧いただけます。

・新聞折り込み(取手市内)

・取手市内各公共施設、市内郵便局、JR取手駅、JR藤代駅、関東鉄道の市内の各駅など

「ひびき」配置場所は、次のリンクからご覧いただけます。


・ひびき第220号は、次のリンク(取手市ホームページ内)からご覧いただけます。


 
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※利用者情報の変更・解除はコチラ


 
〔発信元〕取手市議会事務局(電話)0297-74-2141(代)

*このメールには返信できません。議会に関するご意見・ご要望は、次のリンク(取手市ホームページ内お問い合せフォーム)をご利用ください。

2017年8月4日金曜日

低投票率と地域代表

<松坂市議のブログより>

きょう7月31日で現在の松阪市議会議員は任期満了となり、あすからは23日の投票で当選した新議員28人の4年間の任期が始まります。

今回、投票率が、前回の61・71%を大きく下回る46・98%となったことが市民の話題となっています。
その要因はさまざま考えられますが、大きくは、候補者が「地域代表」ではなくなりつつある現状を反映したものではないかと思います。であるとするならば、これから長期的に見ても低投票率化は避けられないのではないでしょうか。

ここで言う「地域代表」とは、候補者が生まれ育った地域に住み、地域団体に属し、地域の人たちとともにあって、その地域の人たちから推薦してもらって選挙運動を進めるタイプの候補です。

地域社会での人間関係の希薄化とともに、松阪市は、合併で面積が広がりました。
そんな中で、地域(自治会)推薦を得る候補は随分減少したのではないかと思います。
おそらく、4~5人。その中でも、実質的に地域が押し上げている候補というのは、32人の候補のうち、2人か3人ではないでしょうか。

わたしは、候補が自治会推薦を得るという行為は望ましいことではないと思っています。
そんな中には、自治会があたかも選挙組織と化して、自治会・町内会組織を通して世帯ごとに特定候補への支持を割り当てていかんばかりの状況が見られ、有権者の意思を拘束しかねない懸念さえあるからです。

一方で、有権者意識の中には「地元の候補」を求める声もあります。
強制が求めない代わり、有権者と候補者とが、自然な関係性の中で親しくなり、身近に感じていただけることは大切です。
そのことはもちろん否定しませんし、わたし自身も、そうあるべく努力はしています。

投票率が低かったということは、そのどちらもがなくなった選挙だったということではないでしょうか。

伝統的に求心力を持っていたベテラン現職9人が引退し、新人13人が立候補する選挙となりましたが、ただでさえ知名度が低いとされる新人が、ここ数年、短期決戦に挑む例が増える傾向にあるような気がします。今回、2万人の有権者が棄権したということです。この数は引退した9人の得票数と見立ててみてはどうでしょうか。どっと減った地域票をだれも埋めるには至らなかったということかもしれません。

松阪市には、住民協議会の単位だけで43もの地域があり、現在の議員定数(28)でもその数には追いつきません。ならば、議員の役割は何かという部分で、その存在を認めていただけるよう努力を重ねていくことが大切だということでしょう。

http://blog.livedoor.jp/kaiju_matsusaka/archives/52277451.html

2017年8月3日木曜日

「関心を持て」と言われて政治に関心を持つ人はいない

<三鷹市議のブログより>

あるテーマひとつを取っても、立ち位置を変えてみたら、ハッと気づかされる何かがよくあるものです。発信者目線と受信者目線の違いについて考えてみましょう。今回は、「参加」についてです。
 
18歳選挙権解禁後、有権者教育の重要性が言われています。
「若い人に政治に関心を持ってもらうにはどうすべきか?」これは発信者目線です。
一方、受信者目線に立つとどうでしょうか。投票に行きましょうだの、議会に注目しましょうだの、駅頭などで叫んでいる議員さん「本人」ではなく、その議員さんを遠巻きに見ている「傍観者」の気持ちに立ってみましょう。これは実験です。
 
いかがですか?
そういう風景を遠巻きに見ながら、「ま、私には関係ないや」とか「いつも駅でギャーギャーうるさいな」とか思ってしまいませんか?少なくとも、私の実験結果はそうですね。
 
一方、あなたが例えばお子さんの保育園問題で悩んでいるとしたらどうでしょうか?政治の現状に不満を持ち、ひょっとしたら耳を傾けるかもしれませんね。
 
人は様々なステージで生きているのです。それらを一括りにして、政治に関心を持てだの、投票率アップだの言うことの方がどうかしているわけです。
 
この国に真の民主主義はありません。あるものは、税を取り使う権力者側、税を取られるのを我慢する納税者側という二極構造です。この構造からは、納税者側は常に「取られている」という不満が潜在化しているというのが私の考えです。
とはいえ、この不満が具体的になるには、不利益を被ることが大切な分岐点なのです。税を源泉徴収という形で取られている限り、取られているという自覚はさほどはないでしょう。その後、結婚して子どもができて保育園問題に直面し、初めて政治がおかしいとなり、投票という行動を通して「参加」しようという「動機付け」ができます。つまり、動機付けはあくまで当事者本人の事情でしかないというのは、大きなポイントなのです。人はお尻に火がつかないと動かないものです。
 
痛みを伴わないのに政治に関心持つわけがないのです。民主主義的契機を重視するからこそ関心を持てとなるが、関心持たずとも生活できるなら、それはそれで良いのではないでしょうか。「そんなの関係ねぇー」と言われたら、返す言葉がありませんよね。
 
つまり、政治に関心を持つかどうかは、個々人のステージによって違うのです。政治に関心がないのは当然の結論であることにまず政治家は気付く必要があります。さらに言えば、市民参加だの協働だの、実は全く同じ問題構造なのです。実は、民主主義は、強制の要素を含んでいるのではないか?とすら思えてくるのです。
 
以上を前提として、では議員としてどうすべきかというと、これは答えは簡単で、出来うる限りの情報を公開していくことしかありません。これは「責務」であり、そもそも「効果」を期待するものではありません。
議員としては淡々と情報公開の仕事をし、政治的効果については結果論として捉える、これが正解となります。
 
http://ameblo.jp/handanobuaki/entry-12297413460.html

2017年8月2日水曜日

学び合いの場~交流会議2017

<東村山市議のブログより>


おはようございます。
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()30()2日間、「市民と議員の条例づくり交流会議2017」が全国から200名を超える方のご参加を得て終わりました。

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今回のメインテーマは「議会のチェック機能を本気で考える」
初日は「全国自治体議会の運営に関する実態調査2017 調査結果報告」と「議会選出監査委員のあり方」についての基調講演、パネルディスカッション。
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日目は3つの分科会「新公会計制度と決算審査」「シチズンシップ教育と議会」「議会基本条例を改めて学ぶ」と、ふり返りとシェアのための全体セッション

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ご参加くださった方々が、それぞれの視点でそれぞれの評価を含めSNSやブログに投稿してくださっているのを拝見して、企画運営に携わってきた者の一人としてホッと安堵するとともに、受講いただいた皆さまはもちろん、講師をお引き受けくださった方々、実践の報告者として急きょかけつけてくださった若者たちに、感謝の思いでいっぱいでいます。ありがとうございました!
2006年に栗山町議会が初めて議会基本条例を制定して以後、議会改革をテーマに10年以上にわたって学びの場をプロデュースしてきた「市民と議員の条例づくり交流会議」。
私自身は一参加者として10年、ここ4年ほどは運営委員の一人として関わらせてもらっていますが「企画がまとまって、登壇いただく方が固まって、チラシやHPに載せる文言が固まって、周知と参加者募集を経て、当日を無事運営する」というサイクルは、何度経験しても容易なことではなく、半蔵門の小さなスペースで月1回開催する運営委員会では結構厳しい議論も重ね、時に綱渡りの綱から落ちそうになりながら準備を重ねて来たというのが偽らざるところです。
でも、こうして場が実現してみると、登壇いただく方と参加いただく方のチカラ、その相乗作用で、思いもしなかった化学反応がどんどん起きたり、新たな出会いがさらに新たな出会いを次々呼んで、あちこちで人の輪がつながっていくのですね
「学び合いの場」の大切さを改めて深く感じた2日間でした。
2分科会では私どもの準備不足で朝からご迷惑をおかけしたり、他にも至らない点が多々あったことと思い、お詫び申し上げます。
今回はアンケートを用意しませんでしたが、お気づきの点がありましたら、ぜひ忌憚のないお声をお寄せください。今後に活かしてまいります。
次回は115()に秋の企画を予定。
参加してよかった!と誰もが思える1日になるよう、運営委員でまた議論を重ねて準備を進めていきたいと思います。
ぜひスケジュールを空けておいていただければ嬉しいです。
学びの夏。
お蔭様で体調はほぼ完調に近づきました。
今日&明日はマニフェストサミットです。
魅力的で刺激的な2日間になりそうです。
会場の衆議院議員会館へ向かいます!

http://sato-masataka.net/wp/?p=4101

2017年8月1日火曜日

地方議会改革に 大学の「知」生かそう

<公明新聞より>

協定結び、政策力磨く
講師招き研修、学生と意見交換
地方議会改革においては、議会の「見える化」などとともに、議員の政策立案能力をいかに高めるかが課題だ。そこで近年、地域の大学とタッグを組み、その「知」を政策立案や質問力の向上に生かす地方議会が増えている。全国に先駆けて大学と連携協定を結んだ山梨県昭和町議会などの事例を紹介する。

山梨・昭和町

 
「昭和町議会は議会改革の目標の一つに『学ぶ議会』を掲げている。それを具体的な形にしたのが大学との連携だ」と強調するのは、同町議会の塚原將司議長だ。
 
同町議会は2008年に、山梨学院大学ローカル・ガバナンス研究センターと連携協定を締結。大学が持つ専門的な知識や学生の視点を取り入れ、議員の政策立案などに役立てている。

例えば、同町議会は毎年、定期的に同大学から講師を招き、研修会を開催。今年も8月から12月までの期間に6回の研修会を予定している。テーマは「議会基本条例の見直し」「コミュニティバス」などで、地方政治や地域の課題について学ぶ。
学生の提案がきっかけとなり昭和町役場内に設置されたレアメタルの回収BOX
また、同大の学生が街づくりに関する政策提言を行い、議員と意見交換するワークショップも年1回実施。学生の斬新なアイデアが政策として採用され、町政に反映される事例も多く、役場庁舎内へのレアメタル回収BOXの設置や校庭の芝生化、災害時議員行動マニュアルの策定などを実現している。

遠藤辰男副議長は「大学の研究者や若い学生の意見は良い刺激になる。議会質問の参考にする議員もいる」と説明する。

こうした連携は、大学側にも、人材育成の面でメリット(利点)が大きい。

ワークショップでの交流は、学生が普段はあまり接することのない地方議会、議員を身近に知ることができるチャンスで、教育効果も高い。同大学ローカル・ガバナンス研究センター長の江藤俊昭教授によれば、ワークショップを体験した学生が地方公務員を志望し、就職につながったケースもあるという。

江藤教授は「大学が少子化で生き残りをかける中、その専門性を議会改革に生かすことで、特色をアピールできる機会になっている」と説明する。なお、山梨学院大学は、山梨県町村議会議長会とも連携協定を締結しており、人口減少に悩む小規模町村議会のあり方について検討を進めている。

公明党の河田あけみ・昭和町議は「今後も大学と協力し合い、住民と共に歩む議会をめざし改革を前進させたい」と話していた。

各地で広がる連携

 
大学と地方議会が連携する動きは各地で広がっている。

滋賀県大津市議会は現在、龍谷、同志社、立命館の3大学とパートナーシップ協定を締結し、研究者を講師として招くなど政策立案能力を高めている。

特に16年4月からは、同市議会公明党の後押しもあり、議会図書室の機能強化のため、議会が龍谷大学の図書館を円滑に利用できる仕組みを整えた。

議員の調査・研究のための書籍を収集する議会図書室だが、同市議会では図書の充実や司書の配置は財政的に難しい。そこで、多くの学術書などを所蔵する龍谷大学の図書館を利用させてもらうことで、その機能を補完するのが狙いだ。

調査に図書館活用も

 
具体的には、それぞれの議員と議会事務局に、龍谷大学図書館の入館証が発行される。議会事務局を通して、大学図書館に文献のレファレンス(調査相談)もでき、照会してもらった文献を活用して議会質問を行った議員もいたという。

一方、北海道議会は今年1月、札幌大学、同大女子短期大学部との間で、学生の議会傍聴や地域の課題に関する共同研究の実施などを盛り込んだ連携協定を結んだ。同議会事務局は「秋ごろをめざし、学生インターンシップの検討も進めている」と説明する。

京都府福知山市議会は、大学と協定は締結していないが、連携事業を進めており、8月に福知山公立大学の学生との意見交換を実施する予定だ。同市議会の大谷洋介議長(公明党)は「学生との交流を土台に、連携を強化していきたい」と話す。