2018年10月18日木曜日

地方議会あるべき姿とは? 住民からの課題、政策に反映を

<神戸新聞より>

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龍谷大の土山希美枝教授
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龍谷大の土山希美枝教授
 首長から提出された大半の議案をそのまま可決し、政策立案も低調な地方議会。有権者は存在意義が感じられず「そもそも議会って必要なの?」という声すら聞こえてくる。議会のあるべき姿とは。改革の必要性を訴える龍谷大の土山希美枝教授(公共政策、地方自治)に聞いた。
 -議会の役割は。
 「本質的な機能は、平等な権利を持ったメンバーによる議論と意見集約。それが開かれた場で行われることが重要だ。今の議会は政策や制度上の課題について議論をしておらず、会派の数合わせしかしていない。議会という組織で動いていないから、その姿が見えない」
 -行政の提案に反対しないので、追認機関とも言われている。
 「そもそも行政は間違わないという幻想がある。色んな人の意見を踏まえ、議会として結論を出すのはとても面倒な作業。だから考えをまとめず、行政が失敗した時だけ指摘する。行政当局も議論で結論が変わる不確実性は避けたい。相互依存の関係ができ上がる」
 -首長側との水面下の調整で政策や制度が決まることがある。
 「行政と議会が開かれた場で意見交換を行い、議案をより良いものにすべきだ。住民の代理者である議員が、意思形成のプロセスを主権者に見えるようにするのは当然。そうして政策を決めれば議会の責任が明確になる。裏で調整するのは責任を持ちたくないからだ」
 -議員が提案する政策条例なども少ない。
 「現状では議会にかけられる大半の議案は、行政が提案している。議会側がもっと住民からまちの課題を吸い上げるべきだ。よりよい政策や制度につなげていけば存在感も高まる」
 -目指すべき議会とは。
 「今の議会は例えると、仲の悪い商店街のよう。議員は軒先を並べているが、自分の顧客しか見ておらず、誰も商店街のために汗をかかない。愛される商店街をつくることが、結果的に個々の商店をよくするということが見えていない。日常的に議会とは何かを話し合い、どうやって成果を住民に発信していくか。これができなければ議会の不要論は続くだろう」(聞き手・前川茂之)
【つちやま・きみえ】1971年北海道芦別市生まれ。京都市市民参加推進フォーラム座長や、草津市自治体基本条例検討委員会委員長などを歴任。全国各地の議会で講演し、地方議会や議員の在り方などについて提言を続けている。主な著書に「『質問力』でつくる政策議会」「高度成長期『都市政策』の政治過程」など。

2018年10月17日水曜日

首長提案の議案99.7%可決 17年度兵庫県内42議会

<神戸新聞より>

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 兵庫県と県内41市町の計42議会で2017年度、市長ら首長の提出した条例や予算などの議案が否決されたケースは6議会の8件にとどまることが神戸新聞社の調べで分かった。議案の修正を含めても11議会の16件のみで、首長提案の総数5524件のうち99・7%は原案通り可決された。県議会では60年間にわたり否決、修正ともゼロが続き、議案をそのまま通す「追認機関」と批判される一端が浮き彫りとなった。
 地方議会は「二元代表制」の一翼として、議案の審議や議決を通じて首長を監視する役割を担う。「提案される前に水面下でチェックをしている」との主張がある一方、相互依存の関係を維持するため議場での議論が形骸化しているとの指摘もある。
 各議会事務局によると、17年度中に首長提出の議案を否決したのは芦屋、宝塚、三木、丹波市と播磨、太子町の6市町議会。宝塚市は太陽光パネルの設置を促すため、発電施設の固定資産税免除の期間を延ばす改正条例案を出したが、議会は「従来制度の効果が検証されていない」と否決した。
 三木市議会は敬老祝い金を減額する条例改正案を否決し、補正予算案の一部を修正。播磨町議会は税などの滞納金を督促、強制執行する手続きを明文化した条例案など2件を否決、太子町議会は副町長人事など人事案2件を不同意とした。
 修正は三木市議会に加え、伊丹、豊岡、川西、朝来市と上郡町の6市町議会であり、補正予算案や条例内容の一部見直しが目立った。
 一方、県議会は1959年以降、県当局が提出した議案の追認を続けており、議場で双方の緊張関係が具現化した例はない。
 全国都道府県議会議長会によると、47都道府県で17年に知事から提出された議案は計7825件。このうち原案通り可決、承認などされたのは99・5%に当たる7784件だった。否決はゼロで修正可決は7件。全議会の8割近い37議会が100%の可決率だった。
 有識者らでつくる「自治体議会改革フォーラム」(東京)の調査(全地方議会の83%に当たる1485議会が回答)では、16年に首長提出された議案を1件でも否決した議会は138議会で9・3%だった。(井関 徹、前川茂之、若林幹夫)
■審議過程オープンに
【同志社大大学院の新川達郎教授(地方自治)の話】地方議会で首長提出の議案が修正、否決される事例は毎年数%程度しかないが、議会がきちんと精査して議決したかが重要だ。議会が提案前に行政当局と意見交換し、内容が良くなれば役割を果たしたことになる。ただ、そうした審議過程はオープンにすべきで、当局の説明内容などを記録に残し、後に公開すれば透明性の確保や有権者の理解につながる。

2018年10月16日火曜日

議長選44回も決まらず 与那国町議会

<八重山毎日新聞より>
 
                        
9日連続の議長選挙でも議長が決まらない与那国町議会=11日午前、町議場
9日連続の議長選挙でも議長が決まらない与那国町議会=11日午前、町議場
 
町、きょう補正額を専決処分
野党「納得できない」と反発
 
 【与那国】9月定例与那国町議会(定数10)は11日、議長選挙9日目に入るも未決となった。議長が決まらず議案審議に入れない議会に対して執行側の町は、12日に一般会計予算の一部補正額約3億4800万円を、町議会の承認を得ない町長の専決処分で対応する方針を固めた。町側は「議会の動向を考慮し、緊急性を要する事業の補正予算を再編成した。地方自治法に沿って執行したい」と話した。今議会で注目されていた教育長の同意案件は含まない。野党側は「一連の混乱を招いたのは与党側からの議長選出を裏で拒んでいる外間守吉町長にある。専決処分には納得できない」と反発を強めている。
 この日の議長選は午前10時の開会から昼休憩を挟み閉会の午後4時30分まで5回行われ、与党の前西原武三氏と野党系の与那原繁氏が最多得票の5票で同数となり、地方自治法に沿ったくじ引きで当選人となった両者は互いに辞退を続けた。議長選の総回数は44回。
 地方自治法179条の規定に基づき専決処分の調整を続けてきた外間町長と町幹部は議会終了後、12日の議長選が未決となった場合の閉会後に踏み切る考えを示した。
 町側は今議会で一般会計予算の補正額6億8088万9000円を計上する予定だったが、防災行政無線のデジタル化3億円、新庁舎建設の設計発注支援業務1000万円、議員増に伴う議員報酬(月額・期末手当)742万2000円などを優先した補正額に修正した。
 与党側は「町民には申し訳ないが、安定町政を実現するため過半数を獲得したい。(専決処分は)行政の判断」と受け止めた。
 野党側は「議員数が与野党同数の場合は慣例で与党側から議長を選出するのが大前提。町長を説得できない与党議員や応じない外間町長に責任がある。自身で混乱を招き、専決処分することは疑問」と批判した。
 外間町長は「議長が決まらずに残念な状況が続き、(専決処分は)断腸の思い。住民生活に影響が出ないようにしたい。議会に対して私が口出すことはない」と話した。
 この日で当初予定していた14日間の会期日程は最終日を迎え、町議会事務局によると、議長が決まらない場合は平日午前10時に開会して議長選を継続する。議長決定後、すみやかに本会議へ入る。
http://www.y-mainichi.co.jp/news/34294/

2018年10月15日月曜日

マニフェスト大賞 優秀賞36件が決定

<毎日新聞より>

日本最大規模の政策コンテスト「第13回マニフェスト大賞」(マニフェスト大賞実行委員会主催、毎日新聞社・早稲田大学マニフェスト研究所共催、株式会社共同通信社後援)の優秀賞36件が決定した。今回の応募は2242件。優秀賞の中から各部門の最優秀賞と最高位(グランプリ)のマニフェスト大賞が選ばれ、11月9日に開かれる授賞式で発表される。優秀賞を受けた団体・個人は以下の通り。

<優秀マニフェスト推進賞>首長=鈴木周也・茨城県行方市長、板倉正道・千葉県印西市長、小林常良・神奈川県厚木市長、阿部守一・長野県知事、村岡隆明・宮崎県えびの市長/議会=公明党荒川区議団、都民ファーストの会東京都議団、自民党横浜市連・同党横浜市議団、佐野弘仁・甲府市議、林晴信・兵庫県西脇市議長/市民=議会マイニング(山内健輔・早川聖奈・辻成人、東京都)、共創かまくらプロジェクト(神奈川県鎌倉市)、信濃毎日新聞×6高校、Local Democracy Action-KYOTO(京都市)、クラーク記念国際高校熊本上通キャンパス<優秀成果賞>茨城県取手市議会・議会事務局、長野県喬木村議会、愛知県犬山市議会、牟佐町内会(岡山市)、熊本市中央区役所<優秀政策提言賞>千葉県船橋市LGBT・性の多様性を考える議員連盟、佐藤真和・東京都東村山市議、若手議員の会東京、新潟県上越市議会、猪奥美里・奈良県議、兵庫県川西市議会会派「明日のかわにし」<優秀コミュニケーション戦略賞>TeamSendai(仙台市)、法務deランチ(福島県郡山市)、中原恵人・埼玉県吉川市長、埼玉県鶴ケ島市議会図書委員会、田中紀子・千葉県木更津市議<優秀シティズンシップ推進賞>まちであそん実行委員会(茨城県境町)、NPO法人SET(東京都)、NPO法人わかもののまち(静岡県)、島根大学行政学ゼミ、岡山県立新見高校南校地
https://mainichi.jp/articles/20181006/k00/00m/040/020000c

2018年10月14日日曜日

「市民フリースピーチ制度」の定着化へ

<月刊ガバナンス10月号より

愛知県犬山市議会は9月9日、3回目となる「市民フリースピーチ制度」を同市議会議場で開催した。市議会では来春の改選までに要綱あるいは議会基本条例などに同制度を位置付け、定着化を図る予定だ。この日10時からの市民フリースピーチ制度開始直前には傍聴席はほぼ埋まっていた。議員席には通常通り議員が座っているが、執行部席には市民フリースピーチ制度で登壇する7人の市民が陣取っている。ビアンキ・アンソニー議長が冒頭、「市民と議会は密接な関係を持つ必要がある。ここでの発言を議会は真摯に受け止めることを約束します。」と挨拶した。市民からは「地方議会は民主主義の原点です」「自転車優先道路の設定」「2026年アジア大会」「生物多様性保全の取組み」「一人暮らし高齢者の不安を和らげるための地域の取組み」「新しい観光政策・集客装置の開発」などをめぐって市民が発言。熱のこもった内容に議員との意見交換も活発に行われた。
この制度は昨年5月に議長に就任したビアンキ氏が発案。アメリカの議会では「普通に行われていること」とのこと。登壇者は公募。発言内容は「犬山市政に関すること」、発言者は1回あたり7人。議会は市民からいただいた意見を全員協議会などの議論で熟慮し、適切なアクションを取る。山田拓郎市長も傍聴、執行部と議会はお互いに市、市民のために切磋琢磨していく関係だと話した。
詳細は月刊ガバナンス10月号にてご確認ください。https://shop.gyosei.jp/products/detail/9841

2018年10月13日土曜日

議会改革推進委員会第1次答申を議長へ提出!

<小田原市議会HPより>

議会改革推進委員会では、議長から諮問がありました項目について検討を進めていましたが、このほど、予算措置が必要なものなど、9項目については一定の結論が得られたので、10月5日に議長に対し、第1次答申を行いました。

 なお、第1次答申以外の諮問事項については、現在、議会運営委員会にその具体の実施方法の検討を依頼しており、これがまとまった段階で、最終答申を行う予定です。
※ 第1次答申の全文については、下記のPDFファイルをご覧ください。

2018年10月12日金曜日

大丈夫か、埼玉県議会。

<埼玉県議のブログより>

埼玉県議会に籍を置いて7年半。おかしいと憤りを覚えることが度々ありました。
特に、知事の多選自粛条例をめぐる攻防が始まってから、自民会派はあの手この手を攻撃の矢が飛び、毎議会、よくこんないちゃもんを考え付いたものだというものから、もうこのヤジは子どもに見せられないひどさではないかというものまで、議場に座っていることがしんどくなるようなことが起きていました。

そして、それらを見るにつけ、県民を置き去りにして怨念を燃やすことに費やされる県議会の時間が口惜しくもあり、それを数ではどうにも制することのできない歯がゆさに、有権者の皆さんに申し訳ない気持ちにもなっていました。

しかし、今回の9月定例会に至り、遂にここまで来たかという異常事態になっています。

まず、障害者雇用水増し問題で渦中にある教育長に対して、問責決議が出されて自民・改革の会派により可決された件です。

もちろん、障害者雇用の国への報告にあたって、手帳の確認ないまま、水増し報告がなされていた事態は許されるものではありません。二度と起こらないようにしっかりと事態の究明と再発防止策の徹底を図る必要があります。

しかし、この問題の重要性を十分認識した上でも、私たちの会派含め、自民・改革以外の会派は、この問責決議には反対しました。

ところが、この全会一致でない問責決議に基づいて、なんと、昨日の文教委員会に出席しようとした教育長を、自民党は出席させない議決をするという考えられない対応を取ったのです(正確には委員長による退席要請と、その後の非自民委員が出した出席要請の自民委員による否決)。

この問題を詳しく質すにも、今後の対策について問うにも、教育長という責任者が出席の上で、議論をするのが文教委員会の姿であるはずです。教育長が出席できない理由はどこにもありませんが、それを自民委員による議決と言う形で、最終的には締め出してしまいました。あり得ません。

また、企画財政委員会では、ドローンの活用について、ある自民委員から「各県土整備事務所に配置する予算をつけなければダメだ」との指摘があると、その場で職員から「はい、予算をつけます」との答弁が。来年度予算は、これから積み上げて作り、最終的に2月定例会を経て認められなければなりません。これから予算を作る段階では、来年度予算にぜひ盛り込みたいと思っても「配置の必要性は十分認識しております」ぐらいしか答えられません。知事が編成する全体予算の影も形もない段階なので、当然です。それなのに、この職員は予算をつけると言ってしまいました。強い自民党議員から言われたら、職員はルールも無視して議員・職員間だけで決め、物事を進めてしまうのでしょうか。

産業労働委員会でも事件は起きています。

ある議案に関して、自民党がセットで実現を要望しているプランがあったようで、質疑の中で自民の委員さんから「実行にあたっては、自民案を反映した計画にしてくれ」との申し入れがあったようです。盛んに「自民党案」というキーワードが出てくるけれど、自民以外の委員や県民には、その内容がわからないものだったので、我が会派の委員が、自民党案の説明を求めました。

ところが、そのあとがびっくり。委員長から「今、部長が『自民党案を執行部がやる』と答弁したので、自民党案と執行部案は同じものになりました。よって、部長から自民党案について説明させます」という趣旨のアナウンスがあったとか。この報告を聞いて、私は耳を疑いました。議院内閣制の国会でも内閣と与党の役割分担がある中、二元代表制の県議会で、基本の枠組みが崩壊しています。


私の出席していた環境農林委員会でも、事件は進行しています。

議案外質疑で、私の聞くところ、執行部からの説明は特に齟齬やおかしいところが見受けられないのに、自民委員からは「解明されない疑問が大いに残っている」という趣旨の発言がありました。解明のための百条委員会の設置を提案するのだそうです。

このほかにも、これに先立って行われた埼玉県議会選挙区定数検討協議会では、「協議会」とは名ばかり 協議を一切するつもりのない議事進行で、各会派の案をそのまま併記するのみの報告書が議長に提出されました。自民が変えるつもりがないのだから、協議などしても意味がないということなのでしょうか。

まだ、あります。

昨日は、最終日に提案される「意見書・決議案」のリストが配られていたのですが、自民会派から、信じられない多さの意見書と決議が提案されていました。

全会一致が原則のはずが、どんなに一致する内容でも、我が会派からは1件も認められないことが決まっている「意見書・決議案」。我が会派は、これまでも、忸怩たる思いで、この慣例と文化に首をひねっておりました。

いつも、自民党提案は5~7項目ぐらいあっても全部、そして、公明党提案の3案ぐらいの中から1つだけと決まっているのです。

そもそも、これがおかしいです。しかし、今回は、更におかしい。

今まで、私たち提案の意見書を一件も採用できない理由として、自民のもので数がいっぱいになっており、全体をこれ以上増やせないからとの説明を受けて来ました

それなのに、なぜ。今回なんと、自民案として提案された意見書・決議案は11。総数がこのくらいまで多くていいなら、今までの私たち会派からの提案も、内容で賛成できるものは取り入れられたはずです。もう、自分たちのしていることしか、見えないのでしょう。

一つ一つの問題を詳しく書いていないので、わかりにくかったかもしれません。

しかし、本当に由々しき問題が起きているということは確かです。

http://marit.cocolog-nifty.com/diary/2018/10/post-af4f.html