2015年12月15日火曜日

発言者名記載へ前向き、常任委議事録 福岡市議会改革調査特別委

<西日本新聞より>

福岡市議会は9日、議会改革調査特別委員会の第3回会合を開き、常任委員会の議事録に発言者名を記載すべきかなどをテーマに協議した。
 焦点の発言者名の記載については前向きな意見が大勢だった。ただし、それに伴い発言の時間や回数に制限を設けるかの意見に隔たりが大きく、最終的な結論は出なかった。
 特別委ではほかに、常任委員会のインターネット中継や、本会議場に質問の残り時間を表示する機器の導入についても協議。いずれも前向きな意見が相次ぎ、設備や費用の具体的な検討を進めることにした。
 ◆発言制限の声、安直すぎる
 市民に公開されている常任委員会で、どの議員がどんな発言をしたのか、議事録に残すのは当然-。ごく自然な市民感覚だろう。福岡市議会は、常任委の議事録に発言者名を記載していない。全国の政令市では唯一の慣習だ。9日の議会改革調査特別委員会で記載に前向きな意見が多かったことは評価できる。
 ただ、記載を始めるに当たって発言の時間や回数を制限しようとの意見が相次いだことには、首をひねってしまう。行政をチェックする議会の最も重要な役割を制約しかねないからだ。
 発言制限を求める、ある議員は「特定の議員が長時間発言するので、発言を遠慮したことがある」と述べた。確かに、自身の考えを長々と披歴する演説のような質問もあり、もどかしい思いをすることはある。議事録に名前を残して市民にアピールすることが目的化するとの懸念も分かる。
 だからといって発言制限が必要とは安直すぎないか。本来、発言機会は各議員に平等に与えられている。納得いくまで市側と丁々発止の議論をすることが、市民への説明責任を果たすことにもつながる。そこに遠慮は必要ない。議員それぞれの多様な視点から市政をチェックする機会を議会自らが制限するのは、自縄自縛になりはしないか。
 特別委設置は、今春の市議選で過去最低だった投票率(40・81%)への危機感が出発点だったはず。市民に開かれた議会とは…。原点を忘れず、議論を続けてほしい。 
=2015/12/10付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/212599

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