2018年11月9日金曜日

議会ランキング 続・『日経グローカル』誌 + 早稲田大学マニフェスト研究所 松阪市議会のケース

<松坂市議のブログより>


IMG_9033日本経済新聞社発行の『2018 10・18 日経グローカル』(350)誌は、全国の市区815議会を対象に実施した調査で、議会の改革度、住民の関心度、議会の魅力度、制度の活用ぶりを数値化した「議会活力度」ランキングで、松阪市議会は総合41位に入ったことは前に書きましたが、もう少し、補足させていただきます。

松阪市議会の過去のランキングと今回(『日経グローカル』誌調査)
2018年(今回)      41位
2014年(前回)      21位
2012年(前々回)     96位
2010年(初回調査)   405位

全国の自治体議会の活動を比較一覧できるランキングは、現在、この『日経グローカル』誌と、早稲田大学マニフェスト研究所の調査の2種類があります。

日経グローカル誌のほうでは、前回まで、「議会改革」度ランキングとなっておりましたが、今回から、評価基準が変わり、「議会活力」度となりました。
過去の順位を見ていただくとおわかりのように、4年前の2104年には全国21位という素晴らしい位置にありました。このころは、早稲田大学マニフェスト研究所の調査でも27位(2013年)に入っています。

松阪市議会は、2010年2月から議会改革に取り組み、2012年11月に議会基本条例を施行しました。2014年調査の順位には、2年半にわたる議会改革の成果が反映されたものだと考えられます。
今回、4年前と比べ、順位は下がったとはいえ、その間に全国の自治体議会で議会改革が進み、新たに議会基本条例を作ったところが増えた中にあったわりには順位の下がり方が小さかったと思います。
それは、日経グローカル誌の評価方法がたんに「改革」度合を見るだけではなく、議会の運営の仕方や審議・審査方法など議会の基本機能を重視するような指標を採り入れたことによるものと考えます。

逆に言うと、評価方法が従来通りだと、100位、200位レベルに順位が落ちていたのではないかと思っています。

事実、早稲田大学マニフェスト研究所のほうのデータを見ますと、2013年には27位にあったにもかかわらず、2014年には88位、2015年には163位と後退の一途をたどってしまいました。
特に今年6月に公表された2017年のランキングには、公表されている300位以内にも入っていませんでした。ちなみに三重県内で全国300位に入っていないのは、松阪市と津市、熊野市、明和町の4市町だけという惨たんたる状況となっています。
松阪市議会では2010年から議会改革をはじめ、2012年11月に議会基本条例を施行、その成果は2013年の順位で評価されました。
が、その後、改革の速度がパタッと停止してしまったばかりか、基本条例に盛った政策討論会や市民意見交換会などの開催を求めても議会運営委員会で反対者が出て実施できない状況が続いていました。その後、おそらく各地の議会で導入されただろう改革項目は一切採用されないまま来てしまった現実があります。その結果が見事に早稲田大学マニフェスト研究所によって数値化によって反映されてしまいました。


松阪市議会の改革度全国順位(早稲田大学マニフェスト研究所調べ)
2017年  圏外(300位以下・公開資料には掲載されていません)
2016年 140位
2015年 163位
2014年 88位
2013年 27位
2012年 調査に未回答
2011年 235位
2010年 477位

『日経グローカル』誌と、早稲田大学マニフェスト研究所による松阪市議会に対する評価は、2018年度に公表された2017年の実績において、対極的な数字が出て、いったいどっちが正しいのか、それともランキング自体当てにならないのかという話ではなくて、ここまで書いてきた内容でご賢察いただけれるならば、わたしはそのどちらも松阪市議会の今日の姿を正しく映し出していると思います。

実際、早稲田大学マニフェスト研究所の指標のみでは松阪市議会のマイナス面は映し出されても、実は数値化しにくい審議や審査(常任委員会や特別委員会)活動においては市長提出議案を否決し修正案を可決したり、討論や議員間討議において賛否が白熱した議論となったり、市長が議員に対する反問権だけではなく反論権を行使するなど、委員会における請願審査において請願者と議員が長時間にわたって質疑応答を繰り広げるなど、審議過程(委員会の審査を含む)は深化している部分においては、高い水準にあると実感しています。議会は一般質問(もちろん、質問者数は毎回、全議員の半数ほどは実施)ではなく、議案の審議が重要だということです。それと、議会広報誌を発行している広報広聴委員会が取り組んでいる議会報告会の開催と、開催準備のプロセス(報告書作成等)での自発的な活動は抜きんでたものがあります。

最近、目新しいこと(子ども議会とか出前トークとか、市民スピーチとか、ICT化等々)には取り組んではいない分、評価の加点にはつながってはいませんが、審議の中身につながっていく議会力においては向上しているという自負はあります。

そういった意味では、『日経グローカル』誌が全国41位とはじき出していただいた松阪市に対する評価は、妥当なところと言わなければなりません。

しかし、早稲田大学マニフェスト研究所によって示された弱点は確かに存在するわけです。
その点、四日市市議会、鳥羽市議会は、そのいずれの評価方法でも全国トップ10に入るのですから見習わなければならない点はあろうかと思います。

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