2017年6月15日木曜日

住民参加はわずらわしい? 傍聴で自由に撮影・録音できる議会3%

<THE PAGEより>


[イメージ]東京都議会の傍聴席。住民参加の視点で、議会改革は進んでいるのでしょうか(写真:Natsuki Sakai/アフロ)
 早稲田大学マニフェスト研究所は全国の地方議会でどのくらい議会改革が進んでいるか、2010年度からアンケート調査を続けています。「議会改革度調査2015」は、「情報共有」「住民参加」「議会機能強化」の3つの観点に分けて、回答結果を数値化し、発表しました。その中から「住民参加」をみていきます。

「地方議会改革」は進んだか

本会議の傍聴「無条件」 でも、名前・住所の記載必要9割

[グラフ1]本会議の傍聴人名簿へ記入が必要とするもの=早稲田大学マニフェスト研究所「改革度調査2015」より作成
 「住民参加」では、議会の傍聴のしやすさや議会報告会等の実施、住民からの意見受付がどのようになっているか、また未成年を対象とした主権者教育などシティズンシップ推進のための取り組み、参考人招致や、公聴会の実施などを調べています。
 では、住民が議会を傍聴したいと思ったとき、全国の地方議会はどのくらい開かれた環境になっているでしょうか。
 本会議の傍聴で「無条件で公開している(傍聴人名簿の記載は含む)」議会は93.9%、「議長の許可が必要(申請書類が必要な場合)」という答えは3.7%でした。しかし委員会になると「無条件」の比率は下がり、最も高い常任委員会(53.2%)で約半数、全議員が集まり、市長などの執行部から説明を受け、意見を述べ、県政や市政全体を議論する全員協議会と予算審査の特別委員会は37.6%まで下がりました。全員協議会は「非公開」としているところも2割以上になります。
 また本会議の傍聴にあたり、傍聴人名簿に「名前」の記入を求めるところは93.4%と大多数で、「住所」(88.8%)を書かなければならない議会も9割弱、「電話番号などの連絡先」を必要とする議会も42カ所(2.9%)ありました。「特になし」は4.4%のみでした(グラフ1)。

傍聴者が「自由に撮影・録音できる」議会 わずか3%弱

[グラフ2]地方議会の傍聴しやすくするための工夫=早稲田大学マニフェスト研究所「議会改革度調査2015」
 傍聴しやすくするための工夫はどのようになっているでしょう。庁舎内のモニターで会議の様子を中継している議会は半数以上ありましたが、傍聴者が「自由に撮影・録音ができる」のは38議会(2.7%)、「自由にパソコンなどの機器の持ち込みができる」は54議会(3.8%)とごく少数で「キッズスペースや親子傍聴席がある」ところも2.2%しかありませんでした。

請願・陳情「採択ゼロ」約半数。一方で議会報告会開き、住民意見を政策につなげる仕組みあり194議会

 住民から地方自治体へ要望があったときに議会に提出できる請願や陳情はどのような状況でしょう。議員の紹介が必要な請願の審査・調査数で最も多いのは「1~10件」(64.0%)ですが、「0件」も3割弱ありました。採択数も「1~10件」(51.0%)と、採択「0件」(47.9%)とほぼ同程度になっています。議員の紹介を必要としない陳情は、審査・調査数「1~10件」が約4割、「0件」36.0%で、ほぼ同じ割合です。採択数は「1~10件」(41.6%)より、「0件」(55.2%)が多く、半数以上の議会が採択していないことがわかりました。
 住民と直接対話する「議会報告会」の実施状況については、「年1回」設けているところは約3割ありましたが、「年3回以上」設けているところになると合わせて6.4%までにとどまります。「予定なし」の議会も4割以上でした。
 さらに議会報告会を実施した後、住民からの意見をどのように公開・報告しているかについては、意見内容の「インターネットで公開」(56.0%)、「紙媒体で公開」(60.5%)が中心で、その意見の対応状況についても、インターネットや紙媒体で公開している議会が3割弱でした。議会報告会で出た住民意見を政策につなげる「仕組みがあり」と答えたのは194議会で、「特になし」は403議会でした。
https://thepage.jp/detail/20170602-00000003-wordleaf?page=1

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