2014年8月1日金曜日

自由な言論を締め出す新城市議会のブログ規制

<松阪市議のブログより>

言論は自由に行われるべきものである。しかし、議員には議場で「品位」を保持するよう求めた条文が地方自治法にはある。

「普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」(法第132条)

よって、少子化問題についての一般質問の最中、「婚姻届を出す夫婦に、穴の開いたコンドームを配ってはどうか」という下品な提案をした議員は、不適切な発言をしたとして懲罰の対象となり得る。

言ってしまったことに対しては、申し開きはできるものではないし、仲間の議員も弁護の余地はない。
議員政治倫理審査会で処分を検討するという。

しかし、この発言についての問題があらぬ方向に展開した。

24日付の中日新聞によれば、問題となった発言をした議員とは別の議員が、自身のブログで「本会議での品位に欠ける恥ずべき発言」と書き、議長などに適切な対応を求め、不適切な発言が問題となるきっかけをつくった。

しかし、問題をめぐって話し合われた全員協議会で、「公職の立場でありながら、議会で問題提起する前に、自らの主観を表に出すのはいかがか」「個人名を挙げるなら相手に通告するなど配慮すべきだ」などという意見が出されたことから採決をとり、ブログやツイッターで発信する際のルールをなんらかの形で設けることを申し合わせたというのだ。

議会内での発言に法に定めた以上の規制をかければ言論の府としての議会の地位をおとしめる。
では、議会が、議員個々の議会外の言論であるブログや、facebook、ツイッターなどのSNSの利活用に規制をかけたらどうなるのだろうか。
考えただけでゾッとする。

議会内での情報ツールの活用は、自由な言論活動の一翼を担う。
形が違うだけで、街頭や集会での演説や討論と同じ公共での「表現の自由」を担っている。
ブログやツイッター利用に議会独自のルールを設定しようということは、街頭や集会での自由な言論活動にも枠組みをはめようとするのとまったく同じことだ。
憲法第21条の集会・結社・表現の自由等の保障を侵すことになる。
新城市議会では、憲法違反の言論規制をしようというのか。

議会では、妙なところで、みんなに同じように機能の“ユニバーサル化”を図ろうとする傾向がある。
悪く言えば、「出る杭」は打とうとする。
みんなと同じ以上のことはするなということである。

インターネットの普及以前は、印刷物という紙媒体への“弾圧”があった。
インターネットの普及で、地方議員のあいだにも、自身の情報発信ツールとして、ブログや、facebookやツイッターなどのSNSの活用が広がると、こちらのほうの中身への“検閲”が起きる。
議員の間では、ネットを活用している議員とそうではない議員がいる。
しかし、当該の議会のことをブログ等に書いて、議会内で問題視されると、だれかが紙に印刷しそのコピーが議会内に出回る。
すると、「○○議員がこんなことを書いている。放置しておいてよいのか」という情報共有がなされる。
おそらく、わたしのブログの記事も、批判の対象となったことだろう。
そのような場合、無言の圧力が強まって来ることは議会内にいると肌で感じる。

それが抗議であればよい。書かれた側の論理として、自らに不都合なことであれば書いた側に抗議して是正を求める権利はある。

しかし、規制をかけてしまえという非文明的な議論に発展してしまってはいけない。
そうなってしまったのが、新城市議会である。

いったいどのようなルールを作ろうとしているのかがわからないが、「議会内の出来事や未決の事項を表に出してはいけない」という話になるのかもしれない。

社会には企業秘密があるが、議会にはそれがあってはならない。議会では非公開という場を、個人情報の流失のおそれがある場合を除いて設けない。
なぜなら、情報は議員のためにあるのではなく、公のためにあるのだから。
にもかかわらず、議員や議会の都合でくさいものにふたをしてしまうような情報の密室化があってはならない。

どのような基準なら良いかということではなく、基準を作ること自体が間違っている。
憲法が保障した国民の権利として重大な意義を持つ言論の自由にかかわることを、密室化を図りたい議員の都合でどうか侵すことのないよう、切に望む。


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