2015年6月16日火曜日

自治基本条例は、まちの文化


<武蔵野市議のブログより>

5月30日に開催された「自治基本条例実践フォーラム」に参加してきた。自治基本条例にはネガティブキャンペーンがあるなどイデオロギー対立になることがあるが、参加者と話し合っていくと、地域で古くから行われている課題解決方法という「文化」を明文化することであり、実は「保守」の手法ではないかと思えてきた。

■自治基本条例の課題

 「自治基本条例実践フォーラム」は、条例の制定と運用のあり方についての現場からの議論を通じて、今後の方向性と具体的施策を見いだすために話し合う場として開催されたもの。参加者は、自治基本条例の担当自治体職員と研究者ばかりで、議員は私だけという構成だった。  フォーラムの冒頭、問題提起として自治基本条例の現状と課題について、自己決定自己責任となるのが現在の自治体運営だが、自治体関係者、議会、市民にも危機意識の低さがある。どのように自治体を運営するかを明確にするめに自治基本条例は必要となるのだが、ひところはブームになったものの、最近では議会基本条例が加速的に増えてきており、自治のあり方としての条例としては影が薄い。しかし、着実に増えてきてはいる。

  課題となるのは、どのように実効性を持たせ、運用できるか。そして、議会基本条例との住み分け、あるいは連携できるかだ。

そして、まちの課題手法の「文化」が自治基本条例だとの投げかかけがあった。

 「文化」と話されていたのは、松下啓一さん(相模女子大学教授)だ。自治基本条例では、第一人者的な研究者で横浜市役所に長く勤められてきた経歴もある。

■議会の課題
 
  話されていた内容から議会関連について要約してみると、議会不要論はよく聞くが、行政不要論は聞かない。それは、行政はサービスを提供しているが、議会にはないからだ。議会基本条例が増えてきたのは、その議会の危機意識からだ。議会には執行権がないなかで、では、どのように活動すべきか。行政のチェックやサービスを増やすだけではなく、まちの課題解決や頑張っている人を応援すること。まちを元気にすることを考えなくてはならない。

  それが結果的に自治基本条例、議会基本条例となるが、すぐに何かが劇的に変わるのではない。少しずつ効いてくる漢方薬のようなもの。条例を作ることで役所は変わり、議会も変わっていくが10年、20年かかることもあり、その土壌をつくる時間が必要な有機栽培でもあるとされていた。

  自治基本条例と議会基本条例をどのように連携させるか、住み分けるかは別課題としても、どちらも課題解決を市民とともにまちの特性に合わせて行うこと。まちをより元気にするためにつくる、との考え方は納得ができた。条例というと、技術的なことに考えがいってしまうことが多いのでいろいろと整理ができた話だった。

■「保守」の知恵

  その後、自治基本条例の評価をどうするかなど、住民投票はどうあるべきかなどをワークショップ形式で話し合った。結論が出るものではなかったが、イエス・ノーで割り切れることは少ない。住民投票をしないで最善策を作り出すのが自治であり、議会ではないのか。問題解決の手法はまちによりさまざまな方法が知恵として昔から持っている。その昔は、まちの長が住民の意見を聞き、お金や労力も出して解決してきたこともあっただろう。この手法を地域特性に合わせて条例にするのが自治基本条例ではないのか。住民投票があることが自治基本条例ではないとの話となっていった。

  イエス・ノーというデジタルだけで考えない古くからある問題解決のまちの知恵。そう考えると、実は「保守」の考え方ではないかとも思ってしまった。

  武蔵野市では、今後の2年間に自治基本条例の制定を目指したいとの市長答弁が先の議会であった。議員の質問にも登場することもある。つくることを目的にせず、なぜ必要なのか、どのようなまちの姿を示すのか。そういったことを、まず考えることも必要ではないかとも思っている。

  これから武蔵野市でも自治基本条例の議論が増えそうだ。市民の関心が低いように思えているのがひとつの課題だが、まちを元気にできるのか。課題解決につながるのかの視点でまず考えていくことが必要だろう。

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