2016年3月12日土曜日

市長の意向と市政運営~市長の公約と政策~

<松坂市議のブログより>

会派代表質問にあたって

昨年10月に会派をつくったわたしたちにとって、新年度予算案を審議する2~3月の松阪市議会は、会派として初めて迎える代表質問となりました。

代表質問の持ち時間は、議員一人あたり50分に人数をかけて設定されています。答弁を含めて150分。松阪市議会では一般質問の場合は一問一答といって、一つの質問のごと答弁をもらえる仕組みをとっていますが、当初予算案の代表質問の場合は総括式といっていったん用意している質問をすべて言い、それらの質問すべてに答弁をもらったあとでなければ再質問に入れない設定となっています。

なかなかこれが大変です。

当初予算は、総額1400億円に及ぶ1年間すべての歳入歳出が対象となります。
このため、質問項目も多くなりがちですが、数が多ければ多いほど総括式で答弁をもらっている間の処理と、再質問への持っていき方、手持ちの資料の管理等々、煩雑になります。もちろん、限られた質問時間の中での質問となるため、ある程度の数にまとめてのぞまなければなりません。

したがって、代表質問本番の150分よりも、準備にかける時間のほうが膨大となります。2月9日に予算書が配布されてから、質問日の3月3日までの間、議案の読み込みと、質問の組み立てを考えることは、ひじょうに充実感をもって準備にあたることができました。

テーマ設定のうえでの着眼点

膨大な新年度予算を読んでいて気づいたのは、市長の公約や、公約には入っていなくても昨年10月の就任早々の一般質問への答弁で取り組みたいとした事柄はほぼすべて重点化された予算となっているものの、それ以外の分野は前市長のもとで編成された前年度予算をほぼそのまま受け継いでいる点でした。

次いで、市長は2月18日の所信(基本的な考え方)表明を記した文書を予算書に合わせて配布しましたが、その中の次の表現が気になった点です。
「わたしの公約実現に向けた第一歩の予算」とあった点です。
選挙で市長に当選した以上、自ら掲げた公約実現に取り組むのは言うまでもないこと、有権者からの負託を受けるとはいいます。
しかし、公約が正しいとは限りません。
「わたしの公約」を掲げるのは一政治家の活動が公に入るまでの「私的プロセス」でありますが、市長就任後、公約を実現していくまでの過程は市の組織の中で予算・政策化にあたっていく「公的プロセス」です。
選挙という洗礼を受けた公約も、それそのものは私的領域です。それを公の領域で予算化していくためには、庁内の予算査定等々のハードルをクリアしていかないと実現できるものと実現できないものとが出てくるはずです。
どこまで庁内での議論や協議が行われたか、その庁内プロセスはどうだったか、というのが、実は「わたしの公約実現に向けた第一歩の予算」という言葉に大きなひっかかりを覚えました。

当初予算は公約を押し込みすぎた予算となっているのではないか、と考えました。

市長のブレーン会議の「原則非公開」問題

2月2日に開催された市長のブレーン会議「市政推進会議」が非公開となったことに強い衝撃を受けました。
この会議を設置する予算は、昨年の12月に可決しました。わたしも賛成しています。
その際、会議は公開かなどといった質問はしませんでした。
会議の公開は、野呂昭彦(2000年~2003年)、下村猛(2003年~2009年)、山中光茂(2009年~2015年)の3代にわたる市長時代に大原則としてきたことだkらです。
ところが、それが「原則非公開」となったことで、市の担当者複数に聴き取りを行いました。
その結果わかったことは、非公開の理由について担当部長と担当課長では異なったことを言うので追及していくと、第一回会議の開催は2月2日なのに12月の時点で非公開と決めているなど不自然な点が目立ち、市長の意向だと直感しました。

代表質問のテーマ設定

議会で質問をおこなうとき、テーマは要りません。質問項目が明示されていればテーマはなくてもよいです。
ところが、今回は、これまでの個人質問とは異なり、初の会派代表ということになりますので、会派としての取り組みテーマを表したものとすべきと考えました。

そこで会派内で次のようなテーマを提案しました。

「市長の意向と市政運営」です。
このことば自体は会派外には出しませんでした。

図 003

市長の公約を予算に反映させることも市長の意向であるし、市長の思いを伝えた答弁が新年度予算になることも市長の意向であるし、会議の非公開も市長の意向であり、市役所という組織の中で市長の意向をどう受け止め、それを公の政策にしていくうえでの内部チェックやコントロールが働くのか、そのための協議の実態はどうだったのか、疑問に思うところが膨らみました。
市長のリーダーシップは必要ですが、その恣意性がどこまで通るのか、それを適正にチェックする作用は働いているのかが、疑問でした。

「市長の言われることだから・・・」と、職員が一生懸命に政策化に務めたのだとは思います。しかし、チェック&バランスは必要だと思います。

わたしは、市長の所信の中に「わたしの公約実現に向けた第一歩の予算」とあったことと、市政推進会議があってはならない理由で「原則非公開」となったことで、市の政策形成過程に大きな疑問をいだくにいたりました。

そこで、市の政策形成過程の中で、「市長の意向」の反映のされ方が適正なのかどうかをチェックできる質問を組み立てようと考えました。

代表質問の5つの観点
「市長の意向と市政運営」・・・政策としての検証が十分だったかどうか
非公開・・・審議会等の会議の「原則非公開」
不透明・・・市長の答弁が政策になったケース(中心市街地土地利用計画の予算の設定の仕方)。
政策の優先順位と公約
自治力・・・国や県の意向に対して松阪市の立場を主張し、モノを言っていく力(自治の力)
市内部での議論の積み上げはどうなっているか・・・図書館改修


次は、代表質問の中で取り上げた「豪商のまち松阪中心市街地土地利用計画」というわたしからの質問について、どう質問を設定したか、また、そのねらいについて、書いてみたいと思います。

http://blog.livedoor.jp/kaiju_matsusaka/archives/52252310.html

0 件のコメント:

コメントを投稿