2017年1月25日水曜日

片山 善博氏の講演会

<所沢市民のブログより>

お知らせです。恒例の所沢法人会新春公開講演会、今回の講師は慶大教授・元総務大臣片山氏。法人会の案内には今回のテーマは「地域づくりと人づくり」とあります。氏は地方自治について明快な話をしてこられました。所沢のエアコン騒動への論評をご記憶の方もおいででしょう。足を運ばれては如何でしょう。

日時 平成29127()午後215分~午後4

場所 中央公民館ホール(元町27-5
テーマ 地域づくりと人づくり

申込は所沢法人会 所沢支部事務局

申込は、125日(水)午後5時まで

FAX TEL 04-2924-5581又は支部窓口無料300

(参考、かつてこのブログに石堂さんが紹介された 日経グローカル誌に連載された「片山善博の自治体自立塾」より)

 地方議会は、開かれた議会」を標榜しているのに、主権者である住民を寄せ付けない。住民は議場の片隅に押し込められ、発言はおろか拍手もさせてもらえない。「議会報告会」を開く議会も増えたが、決めた結果を報告するのではなく、決める前になぜ住民の意見を聞こうとしないのか。自治体が自立するにはどうすればいいか。この問いに具体的かつ実践的に答えるべく、これまで「日経グローカル」誌に書きつづったものをまとめたのが本書である。

36 議会の自立、首長の自立 自律と自立の二元代表制

 わが国の地方自治は二元代表制である。議会と首長のいずれもが住民から直接選ばれる。議会と首長にはそれぞれ異なる権限と役割が与えられるが、両者の間に上下の関係はなく対等である。その対等で自立した二元が互いに牽制し、バランスをとりながら自治体運営をつかさどる仕組みである。

 どうしてこんな基本的なことを改めて述べるかといえば、多くの自治体でこの二元代表制の仕組みが必ずしも良く理解されていないとしか思えない実態が、しばしば見受けられるからである。

 まず、議会の意向に過剰に気を使う首長が数多くいる。議会との対立や摩擦などもってのほかで、「与党」と称する多数会派との間に意見の相違すらないよう、何事も入念にすり合わせる。ここでは、議会に提出する議案は、事前に「与党」の了解を得られたものに限られる。これだと国政の議院内閣制の場合と同じやり方になってしまい、折角の二元代表制の仕組みは生かされない。

 逆に、議会の側が首長の意向に過剰に気を使うケースも見受けられる。首長が出した議案に対し多くの議員が不満を持っていて、一部の議員が質問を通じて主張の翻意ないし「改心」を求めるものの、首長がそれに応じなければ、無傷のまま議案を通してしまう。あっさり否決したり、修正したりすればよさそうなものだが、それでは首長の顔をつぶすことになるなど、余計な心配りをしたりするのである。これも、二元代表制が機能していないといっていい。
 
 一方、首長の出した議案に文句や不満があるにもかかわらず、結局はそれを通してしまっていたのが埼玉県所沢市議会である。所沢市では2015215日、自衛隊基地の傍で防音対策を施した学校を対象に、エアコンを設置すべきか否かを問う住民投票が実施された。

 この住民投票をめぐっては、もっぱら市長のユニークな考え方や独断が取りざたされたり、批判の対象にされたりした。それはそうかもしれないが、筆者などは市長ではなく、むしろ議会の態度の方を問題視すべきだと考えている。

 かねて該当の学校に順次エアコンを設置する方針が決められていて、すでに設置済の学校もある、ところがそうするうちに市長が変わり、新しい市長はその方針を否定し、その後の予算案にエアコン設置費を盛り込もうとしなかった。

 それに対する議会の態度である。もとよりエアコン設置方針を承認していたであろう議会は、必要経費が盛り込まれていない予算案には不満があるはずなのに、それをそのまま通してしまっているのである。さすがにそれではまずいと思ったのか、その後「教育環境の改善を求める決議」案を賛成多数で可決して市長に再考を求めたり、保護者ら約16000人の署名を添えて提出されたエアコン設置を求める趣旨の請願を採択したりもする。

 それでも市長が考えを改めないことから住民投票の署名集めなどが始まったのだが、どうしてそんなことで住民投票をしなければならないのか、何の因果で、保護者たちに署名集めなどの難儀を強いなければならないのかと、筆者などは嘆息せざるを得ない。

 エアコン設置について議会が決議し、さらに請願を採択までしているのに、市長がそれに従おうとしない。それならば、議会は市長が提案した予算案を修正すればいいだけのことである。予算案の編成と提案は首長の専権事項であるが、議会にはそれを修正する権限が備わっている。

 その修正で、例えば各年度数校ずつエアコンを設置するとすれば、そのための財源を確保するのはさほど難しいことではない。もし財源が見つからないのなら、他のいずれかの歳出予算を削ってそれを充てればいい。数年間に限り、固定資産税や住民税の税率をほんの少し引き揚げる手法だってある。こうして議会がちゃんと自らの権限を行使し、不備な予算案を正しておけば、こんなことで住民投票までしなくても良かったはずである。

 二元代表制のもとでの議会は、首長に遠慮することなく、住民の意思をよく把握し、予算案を含む議案をよく吟味し、必要な修正を施す。あるいは、議会自ら必要な議案を提出し、成立させることによって、首長の怠慢や考え違いを正すという本来の役割を果たしてもらいたい。

                        以上

記:さかぐち
http://blogs.yahoo.co.jp/tokocitizen_c14/43010382.html

0 件のコメント:

コメントを投稿