2014年10月30日木曜日

「わかりやすい授業」のためのタブレットPC

<多摩市議のブログより>

 
  関東若手市議会議員の会...が主催した研修会に参加してまいりました。この会は35歳以下で地方議員になった方々で組織されています。私は初めて参加しました。研修会に「小中学生へのタブレット端末の配布と授業効果」というテーマで荒川区の取組みがあったため。

 
 これについては区長の思い、政策として打ち出されたものでもあったようですが、荒川区の学校教育施策では学校図書館の充実についても早くから取り組んでおり、随分前に話を伺ったこともあります。毎年、学校図書館の蔵書充実のために3000万円の予算を確保しているということ。もちろん学校図書館司書も全校に配置されています。多摩市の場合は学校図書館司書の全校配置はできていますが、蔵書の充実にまで十分な対応ができているとは言い難いですね。ちなみに荒川区は小学校24校、中学校10校です(多摩市は小学校18校、中学校9校)。

 さて、学校情報化の取組みについては、段階的に充実を図ってきたとのことで、教育委員会、全教員へのPC一人一台配布、全仏教室をLANでつないだのが平成17年度、続いて小中学校全普通教室に電子黒板を導入が平成22年度、デジタル教科書のネットワーク配信(教科書の内容改定を見越して4年間で必要なものを揃えることを前提に1校あたり120万円/4年を確保)などに取組み、昨年にタブレット端末導入のモデル校実施、今年度の全校への導入へとつながったそうです。

 「段階的に取り組んできた」ことで、教員も抵抗なくタブレットPC導入の波に乗れているというのが説明で、実際に「わかりやすい授業ができるようになった」と回答している教員の割合も増えているというアンケート結果が出ているそうです。

 教育委員会は「ここでタブレットPCを使ったら効果的!」と思えるような場所で利用すること。そして授業力向上の武器になり、「子どもたちの頭を上げるためのツールになる!」ということを伝えているとのことでした。映像や立体画像、動画・・・・「子どもたちにわかったつもりにさせるツール」でもあることを認識し、あわせて「アナログ」の重要性を再認識するということにもなるのでしょう。実際に、タブレットPCを活用している教員のインタビューでも「より書くことを大事にした授業の展開」を心がけているというものもありました。
 

 「習うより慣れること」...教員の創意工夫に任せており、教育委員会が何かマニュアルを作成して、支持をするということは一切していないとのこと。ただし、ICT支援員が1年間は常駐し、授業支援(タブレット端末を使用した授業構築のサポートをする)とシステムトラブルに対応できる人材をそれぞれ確保している(これはあまり詳しいところまで聞けなかったが外部委託をしている)とのことでした。先生たちがそれぞれ作成した教材などは全体で共有化できるようにしているとのことです。各校ごとでの実践には限界があり、全小中学校実践し、そのデータを積み重ねていくことでより充実していくということでしょう。多摩市でも教員一人一台PCの導入の際、同じことを説明享けた気がしますが、現状どうなっているのかしら?

 

 子どもたちの学習意欲などは確かに高まっている。

 教員が授業に対する意識を高め、授業の本質を考えるようになってきた。

 授業の質(内容)が向上している

 教員間連携(ここは私が6月定例会でも指摘をしたように授業力のあるベテラン×PCスキルのある若手のコミュニケーションが進む)

 
 このあたりが成果としてあげられるとか。子どもたちの学習意欲という点では、多摩市でも愛和小学校が実践しているように、「友だちの意見や考え」を共有することができるため、一人ひとりが周囲を気にして発表するかどうかを迷う気持ちを克服できるようになっているという様子も見られるそうです。

 
 そして、出てきたのが「21世紀型スキル」の話。先だっての一般質問でも私がちょっとだけとりあげてみたキーワードの一つですね。OECDが提唱しているもの。かなり日本はここには後れをとっていると言わざるをません。PISAの学力到達度調査でも2015年度から新たに情報スキルを問われるのです・・・。

 つまり、情報活用能力を子どもたちが習得しながら、学習を進めていくことはいまや世界の潮流を見ても避けて通れない道。つまり、自らのスキルに照らし、情報化に抵抗するような教員集団があるとすれば本末転倒。そしてまた「情報化は必要がない。アナログが重要だ。」とだけの主張、「情報化は企業戦略である。」というだけの見方・・・・これだけでは通用しなくなっているのですね。

 
 もちろん課題もまだまだ多く、決して順調一辺倒ではないことは確かです。今後の財政的な負担も含めて、学校情報化に伴う取組みをどうしていくかは荒川区でさえも頭を悩ます点でもあるようです。実際にタブレットPCの導入についても、中学校では一人一台体制を確保、小学校では「随時一台体制」ということで、低学年は4クラスに1セット(4時間に1時間くらいの割合で使用できる。つまりは子どもたちは一日1度は触れることができる)、中学年高学年は2クラスに1セット(2時間に1回くらいの割合で使用できる。)というかたちでの導入となっていることからもわかります。

 ちなみにパソコン教室をなくすとの荒川区教委の方針は多摩市でも同様ですね。予算の範囲内でタブレットPCの導入を進めているため、荒川区のようにはいかないのが悩みです。荒川区の初期投資についてももう一度確認したいと思っているのですが、タブレットPCをリースして・・・・年間ベースでは6億円ほど(全体では32億円!)。それでもやる価値があるという判断が議会にもあると言えるでしょう。多摩市ではどうやって財源確保ができるのかがまずは課題。それでも何とか小学校には21台しか導入しないとしていたタブレットPC42台にする方向で財政当局が認めてくれて、それだけでも第一歩と思っています。

 
 こんな授業ができたらいいな・・・というよりは、こんな授業になっていくのだろう・・・というインテル社が作成した動画も見せていただきました。かなり興味深いです。

 
 荒川区教委では「導入の時には試行錯誤だから、教員の負担増になります。」と教員たちには伝えているそうです。でも、授業力のある教員ほど「一定、流れに乗っていくことで確実に授業が変わり、その効果が表れていくこと」にも気がついているとのことです。タブレットPCをつかった「荒川スタイル」を確立していきたいという教育委員会の意気込みを大いに感じました。多摩市も現時点で最善を尽くし、「多摩スタイル」をつくりたいものですね。そのためにも、先進的な事例から学びたいものです。

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