2017年7月1日土曜日

ほど遠い「開かれた議会」 都議選前、制約だらけの都議会傍聴してみた


ほど遠い「開かれた議会」 都議選前、制約だらけの都議会傍聴してみた

THE PAGEより>

72日は、東京都議選の投開票日です。都議会は、議員数をはじめ、議員報酬、政務活動費など日本最大規模の地方議会でありながら、議会改革の面では、他の自治体の議会より遅れていると指摘されています。「開かれた議会」の視点ではどこが問題なのか、都議選前の本会議を実際に一般都民として傍聴し、確かめてみました。

【書類に何度も住所氏名を記入】

都議会傍聴の待合スペース。受付の記入など手続きも多い

 第2回都議会定例会最終日の本会議前日66日。議会事務局に電話で確認したところ、本会議開始(午後1時)の1時間前に傍聴券配布とわかったので、当日7日は早めの午前1130分ごろ、都議会議事堂前に着くようにしました。

 2階ロビーでまず、来庁者受付票に名前、会社・団体名、電話番号、訪問先を書き込んで一時通行証を受けとり、首からぶら下げ、同じフロアの待合スペースへ。正午ちょうどに、傍聴券の配布が始まると、今度は傍聴券に、住所と名前を書いて受付に提出。その際、傍聴のルールが書かれた書類と本会議の資料を受け取りました。

 さらに、「写真撮影と録音をしたい場合は許可が必要」と聞き、受付担当者に尋ねると「4階の総務課で手続きをお願いします」との答えが。4階に上がり、都議会議長あての申請書類にこの日3度目の名前と、住所を記入しました。

 ここでは、使用するカメラやICレコーダーの機種まで記載が必要で、持参した「キヤノンEOS Kiss X7」「オリンパスVoice-Trek V-13」と書き込み提出すると、すぐに許可を得られました。ただし、写真と録音データは、他の人に利用させたり提供したりはできず、個人利用に限られると念を押され、写真撮影を認めた人用の「一般傍聴」と書かれた腕章が渡されました。

【音が出る電子機器は議事進行の妨げおそれ】

都議会を傍聴するまでに記入が必要となった申請書類や身につけることを求められた通行証と腕章

 いよいよ本会議場に入ると、携帯電話やパソコンといった電子機器は使用できないとのこと。議会事務局によると、音が出る機器は議事の進行を妨げるおそれがあるためだそうです。また、携帯電話やパソコンは、カメラや録音機能を搭載している機種がほとんどですが、これらは録音機としての申請を認めていないため、使用できない、としています。

 次に、7階の傍聴席入口で、係による持ち物チェックを受けました。リュックの中のノートパソコンを係が見つけ、「電源がオフかどうか確認させてください」と確認。モニターを開くとスリープモードだったので、電源を切らされました。

 本会議場内は吹き抜けの2フロアです。下のフロアが議員席で、上のフロアは傍聴席と、通路をはさんでカメラマン席、記者席という配置になっていました。ノートにペンを走らせながら、ふと記者席の方に目を向けると、記者たちがノートパソコンを広げてキーを叩いています。カメラが搭載され、音も出る機種だと思われますが、記者クラブ加盟社の記者には認めているということでした。

 受付で渡された資料を見つつ、議事の進行を追いましたが、よくわからなくなることもありました。「本日の会議予定」という書類には、「日程第7から第42まで(東京都公文書管理条例外)を一括議決」と書かれていますが、他の資料をみても日程第7から42が何なのか説明がありません。本会議の場で説明される場面もなく、結局何が議決されたのかわからずじまいでした。

【写真撮影・録音可の小金井市議会 名前記入いらない町田市議会】

小金井市議会の厚生文教委員会。小金井市議会は写真撮影・録音も可能

 申請書類の記入や、録音・撮影に関する制約が多い都議会に対し、同じ都内でも、すでにこうした傍聴ルール見直しに取り組んでいる議会もあります。614日、小金井市議会の厚生文教委員会を訪れました。小金井市議会は、本会議・常任委員会も、傍聴者の写真撮影・録音を認めています。議会事務局によると、2000年代後半に、開かれた議会を目指す取り組みの一環として改めました。

 受付は、小金井市役所本庁舎4階にある議会事務局へ。都議会と同じく、傍聴券に住所と名前を記入しました。傍聴券面には、「傍聴に際して、(写真撮影・ビデオ撮影・録音)をしたいので申し出ます」との記載があり、職員から「希望するものに丸をつけてください」と言われ、写真撮影と録音に丸をつけました。これで終了です。

 会議場内には、携帯電話およびパソコンの持ち込みも可能です。傍聴規則上、「携帯電話は電源を切り、又はマナーモードとし、使用しないこと」となっていますが、特に会議の妨げや他の傍聴者への迷惑になっていない場合、黙認しているそうです。パソコンは明確な禁止規定がないため、こちらも黙認です。

 この日は、市民からの陳情について審議。冒頭、陳情した市民が委員会に出席し、直接趣旨を説明したのち、議員からの質問に市の担当部局が答弁する、という形で議事は進みました。初めて耳にした話ですが、冒頭の意見陳述を聞いたため、大まかな内容は理解できます。対して都議会は、陳情や請願を出した都民を招致し、委員会などで意見陳述するという取り組みは実施していません。

東京都議会と小金井市議会に掲示されていた傍聴規則を比較してみた。一見しても都議会のほうが記載事項が多いのがわかる

 このように、地方議会の傍聴ルールは、各議会が設けています。早稲田大学マニフェスト研究所は、こうした傍聴のしやすさや住民意見の聴取(住民参加)の観点などから、議会改革度を調査。最新の「議会改革度調査2016」のランキングで、都内最上位だった町田市議会(回答があった全国1347 議会のうち16位)は、傍聴券に名前や住所などを一切記入する必要がありません。一方、都議会は順位が公表されている全国上位300議会にも入ることができていない状況です。

 選挙戦では各候補が「都民のための議会」「開かれた議会」を力説します。選挙後に、時代遅れともみえる、手続きと制約の多い傍聴ルールを変えることが出来るのか、注目されます。

【主権者である住民が「傍らで聞く」という考えに問題】

報道が撮った都議会本会議場。小金井市議会のように一般傍聴でも個人利用以外でこのような写真が撮れるようになるのだろうか(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 議会改革にくわしい山梨学院大学法学部・江藤俊昭教授(60)の話

── 日本の議会は、住民が主権者だと言われながら傍らで聞く、「傍聴」という言葉に問題がある。主権者が傍らで聞く、ということは住民自治の原則としてありえない。主権者である住民が主体的に参加できない状態にあるのが最も大きな問題だ。

今は「開かれた議会」ということで議会中継の動きが広がっているが、不規則発言をする場合は切ったりしている。議会は公開で討議するのが原則。不規則発言を取り消す場合もあるが、それは公開しないことをなんらかの文書で確認しておくことで乗り切れる。写真撮影や録音は原則認めるべきだ。

また、もっと住民が参加する議会にすべきだ。本会議は難しいかもしれないが、委員会に陳情・請願書を出した市民を参考人として呼んで、意見陳述するところも増えているし、傍聴人に意見を求めるところもある。単なる情報公開だけではなく、住民を参加させることがもっと大事だ。

重要な争点の時は、夜間や休日開催も考えてもよいと思う。日本の自治体の活動量は他国に比べて大きいため、ある程度は日中やらねばならない側面もある。ただ、重要なテーマの場合は、夜間や日曜休日にやることは大事だし、たとえば委員会をそうした日にやって住民の声を聞くことが必要。公聴会も夜間や休日にどんどん開くべきだ。

(取材・文:具志堅浩二)

https://thepage.jp/tokyo/detail/20170627-00000006-wordleaf?page=1

0 件のコメント:

コメントを投稿