2017年12月12日火曜日

議会の議事録、発言者が匿名 ○さんと△さん 福岡市議会

<朝日新聞より>

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 議会での発言者が「○」さんと「△」さん。福岡市議会のほとんどの委員会で、発言者の名前が記号だけの「匿名議事録」になっている。少なくとも50年以上続くとみられる独特の運用。実名化の議論はあるものの、最大会派の自民党市議団が慎重姿勢を崩していない。
 JR博多駅前で起きた陥没事故を議論した昨年12月の市議会第4委員会。公開された議事録はこうなっている。
 ○「現場にいた作業員の証言を公表しない理由は」
 △「国の検討委員会での議論の支障になる」
 ○「証言などがなければ議会としての調査はできない。何かを隠そうとする意図があるのでは」
 ログイン前の続き質問した議員名は「○」、答弁した市側の担当者は「△」で、担当部署や役職名すらない。市議会事務局の担当者は「誰の発言かは文脈で推測するしかない」と話す。
 福岡市議会の議事録は、議員が自由に質問ができる委員会は匿名で、発言が通告制で持ち時間が決まっている本会議と一部の特別委が実名という独自の取り決めとなっている。市議会事務局によると、発言者を匿名とする運用は、少なくとも1965年ごろから続いているというが、その経緯は不明だ。
 朝日新聞は九州・山口・沖縄の県庁所在地の市議会と、各県議会に議事録の運用を尋ねた。「課長より下の役職は名前を出さない」といった例はあったが、全て原則実名だった。ある議会の担当者は「発言者名があっての発言内容。匿名にすることは考えたこともなかった」と驚く。
 福岡市議会では過去に2007~11年の議会活性化推進会議や、現在は議会改革調査特別委で「匿名問題」を議論している。だが「発言が多い会派の意見が多数意見と受け取られるのは問題」「(議案に)賛成の議員は質問も少ないが、反対の議員は発言数も増える」といった意見が出てまとまっていない。
 自民党市議団の森英鷹会長は「議事録に名前を出すことが目的になり、本質的な議論が妨げられる恐れがある。事前の勉強を重ねているかどうかも会派によって異なり、不公平になる」と主張。実名化には委員会での持ち時間制の導入などを条件として挙げる。実名化に反対する議員の一人は「質問しないと仕事をしていないと思われる。昔から匿名だし、あえて野党が目立つよう変えなくてもいいのでは」と漏らす。
 一方、市側の答弁者が匿名では、行政に対するチェック機能が損なわれるとの指摘もある。共産党市議団の中山郁美団長は「市側の誰が発言したのか事後検証ができず、議会にとって損失になる」と話す。
 公文書管理に詳しい独協大の右崎正博名誉教授(憲法・情報法)は「議事録で議員の活動を記録に残す必要がある。市側の発言が局長なのか課長なのか分からないと、責任をあいまいにしかねない。ほかで聞いたことがなく、時代遅れの運用だ」と指摘する。
     ◇
 早稲田大マニフェスト研究所(東京都)が情報公開や住民参加などの観点で全国の議会に尋ねた議会改革度調査(2016年度)では、福岡市議会は20政令指定市のうち15位。九州の指定市議会では、熊本市が8位、北九州市が10位だった。一方、情報公開度に限った順位では福岡市は9位。同研究所の担当者は「議事録の匿名化については調査の設問にはなく、想定していなかった」と話す。(小川直樹、井上怜)

http://digital.asahi.com/articles/ASKD351B0KD3TIPE01K.html?rm=268

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