2018年2月21日水曜日

議会委の議事録公開進まず 本紙・埼大調査

<朝日新聞より>

◇県内64議会を共同調査

 朝日新聞さいたま総局と埼玉大学社会調査研究センター(松本正生センター長)は、地方議会の現状を把握する目的で共同調査を実施した。県議会を含む県内全64議会で情報公開制度が整備されているものの、議会に常設の委員会の議事録が公開されていない議会もあった。また、全体の議案に対する議員提案の割合は7・3%。なかでも意見書や決議が目立ち、政策提案は少なかった。

◇本会議は公開も委員会は「要約」4割
 情報公開は、政策決定プロセスを透明化することなどを目的に、2000年ごろから議論が活発になった。最近では「森友・加計問題」で情報公開のあり方が改めて注目されている。
 県内全64議会に情報公開制度が整備されているか尋ねたところ、自治体が定める情報公開条例の対象とされているものを含め、全議会で整備されていた。
 朝日新聞は、1999年にも市議会(当時は43市議会)に同様の調査を実施した。当時、「制度がある」と答えたのは20市議会。20年近くたち、県内すべての議会で制度が整った形だ。
 本会議の議事録については、全64議会が「作成している」と回答。すべてが「ウェブで公開している」とした。

◇3議会が未作成
 一方、議案を個別に詳しく審査する委員会では、回答が分かれた。
 多くの議会で委員会の議事録は作成しているが、「作成していない」と回答したのは越生町、上里町、東秩父村の3議会。
 作成している議会でも、「要約」を作成していると回答したのが約4割の26議会にのぼった。
 作成した委員会の議事録を、「ウェブや広報紙で公開していない」としたのは34議会あった。その大半は「情報公開請求があれば開示する」としているが、「『議事録を見たい』という申し出があったことがない」(小鹿野町議会事務局)という議会も。ある町議会担当者は「ウェブで公開するほどの人的余裕がない」と漏らした。

◇17年開催の議会 議員提案は7.3%
 2017年に開かれた議会で、提案された総議案数は6223件。もっとも多かったのは、さいたま市議会の234件だった。
 議会は、二元代表制の一翼として首長が提案した議案をチェックする役割に加え、議会に属する議員も議案を提出することができる。総議案数のうち、議員が提案した議案数は454件で、全体の7・3%だった。
 もっとも多かったのは嵐山町議会の43件。総議案数の4割近くに達した。一方で和光市、蓮田市、鶴ケ島市、ときがわ町の4市町議会は「ゼロ」と回答した。
 議員が議会に提案した議案を詳しくみると、ほとんどが中央省庁に対する意見書や決議が占めた。県内唯一の政令指定市のさいたま市議会では、総議案数に占める議員提案数はわずか1・7%で、それも意見書や決議がほとんどだった。

◇法務担当少なく
 どうして議員から政策提案する議案が少ないのか。理由の一つとして考えられるのが、「法務担当職員」を置いている議会の少なさだ。
 法務担当職員には、議員が政策立案する際の補佐役としての役割が期待されている。国会では衆議院、参議院ともに「法制局」があり、国会議員が議員立法をする際に助言などをする。
 「法務担当職員を置いている」と答えたのは、県、さいたま市、川口市、新座市、八潮市、鶴ケ島市の6議会にとどまった。町村議会では一つもなかった。
 また、「情報の少なさ」を理由にあげる議員もいる。ある市の議員は、「執行部に比べて議員が持っている情報は圧倒的に少ない。新たな事業を提案しようにも、予算がいくらかかるのか計算するのも簡単ではない」と話す。(有近隆史)

主な議会の議員提出議案(2017年)

《さいたま市》
◆現行の災害対策に関する法制度の見直しを求める意見書
◆北朝鮮の弾道ミサイル発射等に断固たる決意をもって抗議する決議
◆2017年度さいたま市一般会計補正予算(第6号)に対する付帯決議
◆道路整備事業に係る補助率等のかさ上げ措置の継続等を求める意見書
《川越市》
◆自民党川越市議団に猛省を求める決議
◆北朝鮮による核実験及びミサイル発射実験に抗議する決議
◆台風21号災害の復旧を求める決議
◆川合善明市長に対する問責決議
◆防災・減災対策について
《越谷市》
◆組織犯罪処罰法案におけるいわゆる「共謀罪」の撤回を国に求める意見書
◆核兵器を廃絶するために積極的な取り組みを国に求める意見書
◆北朝鮮問題を国際社会と連携し、圧力と対話により解決するよう国に求める意見書
◆「男女共同参画学習課」の存続、拡充と組織的位置づけの強化を国に求める意見書
《川口市》
◆無料公衆無線(Wi-Fi)環境の整備促進を求める意見書
◆公共施設等管理に係る新たな補助金制度の創設を求める意見書
◆川口市手話言語条例
◆国民健康保険の安定的運営のため財政基盤の強化を求める意見書
◆地域経済と雇用を支える中小・小規模企業の経営基盤を強化するための施策拡充を求める意見書
◆核兵器の全面的廃絶を求める意見書
◆国民健康保険における子どもの均等割額の軽減制度の創設を求める意見書
◆教育費の公的支出の増額と教育費負担軽減を求める意見書
◆教員の負担軽減と働き方改革を求める意見書

【調査方法】
朝日新聞さいたま総局と埼玉大学社会調査研究センターは昨年12月末、県議会と県内63市町村議会の事務局にメールやファクスでアンケート用紙を配布。1月中旬までにすべての議会事務局から回答を得た。事務局の回答をもとに掲載しているが、追加で電話取材した議会もある。なお、上尾市議会は1月半ばまで開かれた12月定例会までをカウントした。

https://www.asahi.com/articles/CMTW1802161100002.html

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