2018年2月22日木曜日

議員の賛否 15議会非公表

<朝日新聞より>

◇「会派で示す」「可否のみ確認」

 どの議員が議案に賛成したのか反対したのか分からない――。朝日新聞さいたま総局と埼玉大学社会調査研究センター(松本正生センター長)が県内の議会に行った共同調査で、全64議会中、2割にあたる15議会で議員の賛否結果を公表していないことがわかった。

 議員個人の賛否結果を公表することは義務づけられてはいないが、議員がどの議案に賛成、反対したのかを知るのは、有権者にとって議員の考えを知る材料になる。なぜ公表していないのか、個別に尋ねた。

 「会派ごとの賛否は示している」と答えたのは、県、川越市、加須市、春日部市、八潮市、坂戸市の6議会。定数が多い議会は、所属政党や考えが近い議員で会派を組む。県議会は、「議会の規定で会派ごとに賛否を決めることになっている」と話した。

 「議案が可決されたか否かのみ確認している」と答えたのは、川口市、本庄市、東松山市の各議会。

 ふじみ野市議会は「公式にお知らせするものではない。問い合わせにも応じていない」。上里町議会は「問い合わせがあったこともない」と答えた。滑川町議会は、公表について「議員間の協議が進んでいない」。春日部市議会は「本会議を中継し採決場面も映している。そこで確認することは可能」と話した。

 賛否結果を公表する議会の場合、秩父市議会は新庁舎移転を機に、昨年3月から採決時の議員個人の賛否をインターネット中継などで映し出している。蓮田市議会も「当然のこと」と公表。「公表しない理由が思いつかない」と話す議会関係者もいた。

 今後公表する可能性があるとしたのは神川町議会。「前例に従い公表していない」としつつも、2016年末、議会に活性化特別委員会を設置。「開かれた議会、町民参加の議会、信頼される議会」を目指す目的で、議会事務局は「今後議論になる可能性がある」としている。

◇松本正生・埼玉大社会調査研究センター長の話 

 見かけ上、情報公開度は上がっているが、議会の充実につながっていないのではないか。議員提案の中身も決議や意見書がほとんど。北朝鮮への抗議決議や無線LANの整備、森林環境税の新設要求などが多くの議会で提案され、ひな型が出回っているのではと思わせる。また、それ以外の意見書も市長や問題議員への問責などで、「内向き」に終始している印象だ。

 議会は個々の議員から成り立ち、地方議会は無所属議員が圧倒的に多い。議員個人がどう賛否を判断したのか示さないのはおかしい。

     ◇
 県議会を含む県内全64議会の現状について、共同調査から読み解き、随時掲載します。

https://www.asahi.com/articles/CMTW1802161100001.html

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