2018年2月25日日曜日

トークショーに終わらせないための議会改革

<武蔵野市議のブログより>

「機能向上をするのが議会改革。市民に役立つことが改革だ。前例よりも前進」と議会改革を語るニューヨーク生まれのビアンキ・アンソニー犬山市議会議長の話を聞き、あらためて議会の意味を再確認した。
 
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 1月24日に愛知県犬山市でローカルマニフェスト推進地方議員連盟主催による研修会、「地方創生時代の政策と議会のあり方を学ぶ」が開催され参加をしてきた。


P2260647■議員間討議からの議会改革
 
 議連顧問の北川正恭早稲田大学院名誉教授(元三重県知事)は基調講演で、国が主導しての地方創成では地方分権と逆行している。地方が自ら作り出すべきだ。執行部は法律や条例で決められたことを執行するのが仕事であり、改革はできない。多様な市民意見を反映できる議会こそ、改革ができるのであり、地方創成の先頭になるのは地方議会であるべきだと持論を述べていた。

 この「激」の後、犬山市議会の議会改革について、ニューヨーク出身のアンソニー・ビアンキ議長による講演が続いた。

  
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 ビアンキ議長は、議会改革を進めるには、議員の意識が変わることがもっとも大切だ。議会の権限は決まっているのだからその機能を住民福祉の向上のために出しつくすかを考えるべきだ。
 日本では、首長と議員を別々の選挙で選ぶ二元代表制を取っているが、これは、双方のバランスを取るためであり、同じくらいの多い権限がある。その同じくらいに権限を出すには、議会の権限を把握しなければならない。よく議会の仕事はチェック機能と言われるが、権限のひとつでしかないと話され、議会改革を進めるには次の3点が必要だとされていた。

1.議員間討議。議員同士が議論しないと議会として物事が変わらない。

2.議会の政策立案及び政策提言の力。議員同士の話し合いは、政策などにつながらないとただのトークショーになってしまう。

3.市民参加。議員間討議をする場合は、より市民のニーズや希望を反映できるよう、市民の意見を吸い上げる場を増やし、市民からいただいた意見を基に議員間討議を行う。

 これらの考えから、
犬山市議会基本条例には、議員間討議が10回も出てくるほどだとされていた。

 確かに発言しているだけ、要望しているだけではトークショーといわれてしまうかもしれない。その発言が何に結びつくかを議員自身が考えることは必要だ。


■市民に議会の存在意義を示せるか

 講演の後は、議連の共同代表の川上文浩可児市議会議長がコーディネーターとなり、北川教授がコメンテーター。パネラー目黒章三郎会津若松市議会議長、三木雪実瀬戸市議会議長、ビアンキ議長と現職議長が4名も登壇するというあまり例のないパネルディスカッションとなった。

P2260603 多方面の論点があったが、議会不要論に対しては、議員だけでなく議会として市民に見える活動ができるか。市民に近づき意見を聞き、その内容を議会として反映できるか。その存在意義を見せることが地方創成に結び付くとの内容となっていた。

 この議論で印象的なのは、民意吸収機能を議会として果たさないと政策立案や監視さえもできない。民主主義は時間がかかる。だからこそ、議会基本条例など形式要件を整えることも必要。実質的な成果はその次になるとの北川教授の発言だった。
 
 議会基本条例の制定数は、797自治体。全自治体議会の44.6%となっている(2017年7月24日現在。
自治体議会改革フォーラム調べ)。約半数の議会で制定しているが、その実態と成果が問われているのが現状だろう。形式要件は整いつつあるのだから、その次の段階に多くの議会がたっているとも言える。

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■執行機関との違いを認識する
 
 ビアンキ議長は、アメリカでは市民の相談窓口は議会になっている。シティセンター(市役所)はどこか? と聞くと、カウンシル(議会)か? と聞かれるほどだ。議会が決めたことを執行する機関と分けられているのだから、執行部ではなく議会が相談窓口になっている。日本でも同じことを行うべきとの提案もあった。

 アメリカと日本とでは制度が異なるので、全く同じにとはできないが、二元代表制の分かりやすい考え方だ。執行機関(市長・市役所)と議論し決定する議事機関の違いを認識すること。そして、その違いを明確化すること。つまりは形式要件として見える化することが必要ということだ。 

 ビアンキ議長は、英語などの講師として犬山市で働き、日本国籍を取得し市議会議員となった異色の経歴を持つ。異なった視点からの日本の議会改革への発想は分かりやすいものだった。
 そして、北川教授やビアンキ議長からの指摘や意気込みには同じ思いを持つが、どれだけ議員自身が分かっているか。さらには有権者も理解しているかが気になってしまった。今後の多くの議会での課題だ。
 今回のような研修会を国内各地で広げ、気づきのきっかけにすることも必要だろう。


    ◆

 武蔵野市議会では、議会基本条例の制定へ向けて議会運営委員会で議論が続いている。時には後ろ向きともいえる発言があるが、おおよその内容は固まりつつある。形式要件だけでなく、その先を見据えた議論が必要であることを再認識した研修会でもあった。議会が本来持つ機能、権限を明確化する。議員間討議の手法(現在は休憩して行える)の目的の精査なども四議会の取り組みを参考にしたい。

http://blog.livedoor.jp/go_wild/archives/52512855.html

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